ヨーロッパは、世界のサッカー市場価値の中心地であり続けています。放映権収入、国際的なブランド力、育成と移籍を循環させる仕組みなど、あらゆる面で他地域をリードしており、UEFAに属するリーグは世界の選手市場を事実上支配しています。ただし、その中身を詳しく見ていくと、すべてのリーグが同じ構造で価値を形成しているわけではありません。
本記事では、2026年1月時点のデータをもとに、ヨーロッパのサッカーリーグ市場価値ランキングTOP10を整理します。世界最高峰のプレミアリーグを筆頭に、技術力で評価されるリーグ、育成と移籍で価値を積み上げるリーグなど、それぞれ異なるモデルが存在します。
なお、本ランキングではリーグ間の構造的な差をより明確にするため、市場価値の高いリーグから順に紹介していきます。単なる順位比較ではなく、ヨーロッパリーグ全体の力関係と評価の背景を読み解いていきましょう。
1位:プレミアリーグ(イングランド)
125億5000万€(約2兆1,335億円)
プレミアリーグは、世界のサッカー市場価値を事実上支配する存在です。放映権収入、スポンサー契約、国際的なブランド力のすべてが他リーグを圧倒しており、リーグ全体の市場価値は2位以下を大きく引き離しています。最大の特徴は、上位クラブだけでなく中下位クラブまで含めて資金力が高い点にあり、リーグ全体で選手価値が底上げされる構造が完成しています。
また、世界最高峰の競争環境が選手の評価を押し上げる要因にもなっています。若手選手にとっては価値を高める最高の舞台であり、完成されたスターにとっても市場価値を維持しやすいリーグです。短期的な景気変動に左右されにくく、「現在価値」と「将来価値」が同時に積み上がるモデルは、他リーグが容易に真似できるものではありません。今後も世界最高の市場価値を誇るリーグであり続ける可能性が極めて高いと言えるでしょう。
2位:ラ・リーガ(スペイン)
54億1000万€(約9,197億円)
ラ・リーガは、技術力と戦術性の高さを武器に長年トップクラスの市場価値を維持してきました。特に一部クラブが持つ国際的ブランド力は突出しており、リーグ全体の評価を強く下支えしています。一方で、近年は財政健全化の影響により、かつてのような大規模投資は抑制される傾向にあります。
それでも、育成力と戦術理解度の高さは健在で、若手選手が価値を高めやすい環境は維持されています。リーグ内の格差は課題とされるものの、技術的完成度の高さが市場価値を安定させています。派手さは減ったものの、質の高さで評価されるリーグとして、今後もヨーロッパ上位圏を維持する可能性が高いでしょう。
3位:セリエA(イタリア)
53億8000万€(約9,146億円)
セリエAは、戦術性と競技力の高さを背景に、再び評価を高めつつあるリーグです。守備組織や試合運びの完成度は世界有数で、選手の理解度や対応力が市場価値に反映されやすい環境が整っています。財政面では制約があるものの、的確な補強と育成によって安定した評価を維持しています。
また、若手選手と経験豊富なベテランが共存しやすい点も特徴で、キャリアの再構築や価値の再評価が行われやすいリーグです。商業規模ではプレミアに及ばないものの、競技レベルと持続性の高さは依然として健在で、今後も安定した上位リーグとしての地位を保つと考えられます。
4位:ブンデスリーガ(ドイツ)
48億3000万€(約8,211億円)
ブンデスリーガは、育成力と経営健全性を高次元で両立させているリーグです。若手選手がトップレベルの実戦経験を積みやすく、市場価値が上昇しやすい構造が整っています。クラブ経営も安定しており、突発的な価値下落リスクが小さい点は大きな強みです。
一方で、トップクラブへの戦力集中が指摘されることもありますが、リーグ全体としての選手育成能力は非常に高い水準にあります。派手な補強よりも持続可能な成長を重視するモデルは、長期的な市場価値維持という点で評価されており、今後も安定した地位を保つリーグと言えるでしょう。
5位:リーグ・アン(フランス)
38億6000万€(約6,562億円)
リーグ・アンは、ヨーロッパ屈指の育成リーグとして高い評価を受けています。若手選手の素材力は非常に高く、欧州主要リーグへ移籍することで一気に市場価値を高めるケースが多く見られます。そのため、リーグ全体の価値は「将来性」を含めて評価される傾向が強いです。
一部クラブへの依存度が高い点は課題ですが、育成力そのものは衰えていません。短期的な市場価値の上下はあるものの、人材供給源としての役割が続く限り、リーグ・アンの評価が大きく崩れる可能性は低いと考えられます。
6位:リーガ・べウィン(ポルトガル)
18億1000万€(約3,077億円)
ポルトガルリーグは、若手選手の価値を高めて売却するモデルが完成しているリーグです。南米や国内の有望株を発掘し、欧州トップリーグへと送り出す中継地点として機能しています。その結果、リーグ規模以上の市場価値が評価されています。
放映権収入は大きくありませんが、移籍市場との結びつきが非常に強く、選手の評価が上昇しやすい環境が整っています。中堅リーグながら、育成とビジネスの両面で確立されたモデルを持つ点が高く評価されています。
7位:スュペル・リグ(トルコ)
12億9000万€(約2,193億円)
トルコ・スュペル・リグは、熱狂的なサポーター文化と高い競争意識を背景に、独特の市場価値を形成しています。実力のある外国籍選手や経験豊富なベテランが集まりやすく、即戦力中心のリーグ構造が特徴です。
一方で、財政面の不安定さが長期的な市場価値の伸びを抑える要因となっています。短期的な評価は高いものの、持続性という点では課題を抱えており、経営改善と育成強化が今後の価値向上の鍵となります。
8位:エールディヴィジ(オランダ)
12億4000万€(約2,108億円)
エールディヴィジは、世界有数の育成リーグとして確固たる地位を築いています。若手選手が早い段階でトップレベルの実戦経験を積める環境が整っており、市場価値が上昇しやすい点が最大の特徴です。
リーグ全体の規模は大きくありませんが、育成力の高さが評価を支えています。今後も「選手価値を生み出すリーグ」として、安定した位置づけが続くでしょう。
9位:ロシア・プレミアリーグ(ロシア)
10億3000万€(約1,751億円)
ロシア・プレミアリーグは、国内資本を背景に一定の市場価値を維持してきましたが、国際大会や移籍市場との接点が限定的になっています。その影響で、選手の評価が伸びにくい状況が続いています。
リーグ内の競技力自体は高いものの、国際的な露出不足が市場価値を抑える大きな要因です。今後、国際舞台への復帰が進めば、評価が見直される可能性もあります。
10位:ジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー)
9億6955万€(約1,648億2,350万円)
ベルギーリーグは、若手選手の育成とステップアップに特化したリーグです。実力ある若手が欧州主要リーグへ移籍する前段階として機能しており、市場価値は堅実に評価されています。
リーグ規模は小さいものの、育成力と移籍市場との連動性が高く、安定した中堅リーグとしての地位を確立しています。
まとめ:ヨーロッパのリーグ価値は「循環構造」が生み出している
ヨーロッパのサッカーリーグ市場価値ランキングを見渡すと、単なる人気や競技力以上に、「価値が循環する構造」が評価を支えていることが分かります。プレミアリーグは放映権と資金力によってリーグ全体の価値を押し上げ、ラ・リーガやセリエA、ブンデスリーガは技術力や戦術性、育成力を背景に高い評価を維持しています。それぞれのリーグは異なる強みを持ちながらも、世界市場と強く結びついている点が共通しています。
また、ポルトガルやオランダ、ベルギーといった中堅リーグが上位10位に名を連ねていることは、ヨーロッパ特有の特徴と言えるでしょう。これらのリーグは、若手選手を発掘・育成し、移籍市場で価値を高めることでリーグ全体の評価を成立させています。市場価値は必ずしも「リーグ内で最も強いクラブがどこか」だけで決まるものではなく、国際移籍市場との接続度が大きく影響しています。
ヨーロッパのリーグ市場価値が他地域を圧倒している理由は、このような多層的な構造にあります。トップリーグが商業的価値を拡大し、中堅リーグが人材供給を担うことで、地域全体としての市場価値が循環し続けているのです。今後、他地域のリーグ市場価値を見ていく際にも、ヨーロッパが築いてきたこの構造を基準に比較することで、世界のサッカー市場の力関係がより明確に見えてくるでしょう。
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