2026/27シーズンのプレミアリーグが開幕しました。
アーセナル、チェルシー、マンチェスター・シティが市場価値13億ユーロを超える一方、昇格組のハル・シティは1億4,430万ユーロにとどまります。クラブ間には、最大で10倍近い市場価値の差があります。
それだけの戦力差があれば、開幕節も市場価値上位クラブが順当に勝利すると思われました。
ところが、第1節では市場価値下位クラブが5勝を挙げました。残る試合でもニューカッスルがリヴァプールと引き分けるなど、ランキングどおりには進まないプレミアリーグらしい開幕節となりました。
今回は全10試合について、クラブの市場価値と試合内容を比較しながら振り返ります。
※市場価値は2026年8月26日時点のデータを使用。日本円は1ユーロ=180円で換算しています。
第1節の試合結果
| ホーム | 結果 | アウェイ |
|---|---|---|
| アーセナル | 3-0 | コヴェントリー |
| ハル・シティ | 2-0 | マンチェスター・ユナイテッド |
| エヴァートン | 2-0 | クリスタル・パレス |
| イプスウィッチ | 2-1 | サンダーランド |
| ノッティンガム・フォレスト | 0-1 | リーズ |
| ブレントフォード | 3-0 | トッテナム |
| ブライトン | 4-0 | アストン・ヴィラ |
| マンチェスター・シティ | 2-1 | ボーンマス |
| ニューカッスル | 2-2 | リヴァプール |
| フラム | 2-3 | チェルシー |
アーセナル 3-0 コヴェントリー
市場価値
- アーセナル:14億5,000万ユーロ(約2,610億円)
- コヴェントリー:2億9,215万ユーロ(約525億8,700万円)
- 市場価値差:約2,084億1,300万円
市場価値1位のアーセナルが、19位のコヴェントリーを3-0で下しました。
15分にカイ・ハヴァーツが先制すると、23分にはブカヨ・サカが追加点を決めました。後半開始直後の49分にはマルティン・ウーデゴールが3点目を決めています。
アーセナルはボール支配率64%、シュート数20対4、枠内シュート数6対1と試合を支配しました。市場価値ではコヴェントリーの約5倍でしたが、ピッチ上でもその差をはっきりと示しました。
開幕節で最も市場価値差が大きかった対戦の一つでしたが、ここはランキングどおりの結果です。
ハル・シティ 2-0 マンチェスター・ユナイテッド
市場価値
- ハル・シティ:1億4,430万ユーロ(約259億7,400万円)
- マンチェスター・ユナイテッド:9億2,930万ユーロ(約1,672億7,400万円)
- 市場価値差:約1,413億円
第1節最大の番狂わせとなったのが、この試合です。
市場価値最下位のハル・シティが、5位のマンチェスター・ユナイテッドを2-0で撃破しました。
17分にセミ・アジャイが先制点を決めると、38分にはノーベル・メンディが追加点を決めました。ハルが前半に奪った2点を最後まで守り切りました。
マンチェスター・ユナイテッドは支配率72%、シュート数21対8、xGでも1.81対1.26と上回っています。しかし、最後までゴールを奪えませんでした。
市場価値はハルの約6.4倍でした。それでも試合を決めたのは、ボールを長く持ったチームではなく、少ないチャンスを確実に生かしたハルでした。
市場価値ランキングを使って第1節を振り返るうえで、最も象徴的な試合です。
エヴァートン 2-0 クリスタル・パレス
市場価値
- エヴァートン:4億7,110万ユーロ(約847億9,800万円)
- クリスタル・パレス:5億4,540万ユーロ(約981億7,200万円)
- 市場価値差:約133億7,400万円
市場価値14位のエヴァートンが、12位のクリスタル・パレスに2-0で勝利しました。
42分にキアナン・デューズバリー=ホールが先制しました。53分にはティエルノ・バリーが追加点を決め、エヴァートンが開幕戦で勝点3を獲得しています。
ただし、試合内容を見ると結果ほど一方的ではありません。
パレスは支配率58%、xG2.04を記録し、4度のビッグチャンスを作りました。それでもすべて決められず、2度シュートがポストやクロスバーに阻まれています。
一方のエヴァートンはxG1.16ながら2得点を挙げました。市場価値だけでなくチャンスの質でも下回りながら、決定力と守備で結果を手にしました。
イプスウィッチ 2-1 サンダーランド
市場価値
- イプスウィッチ:2億9,965万ユーロ(約539億3,700万円)
- サンダーランド:3億9,888万ユーロ(約717億9,840万円)
- 市場価値差:約178億6,140万円
市場価値18位のイプスウィッチが、16位のサンダーランドを2-1で下しました。
24分にエメルソンが先制しました。39分にニルソン・アングロのフリーキックで追いつかれましたが、90分に途中出場のジャック・クラークが決勝点を記録しました。
クラークは古巣サンダーランドを相手に、試合終了間際の一撃で勝利をもたらしています。
イプスウィッチの支配率は38%にとどまりましたが、xGでは1.74対0.76とサンダーランドを上回りました。ボールを持たれる時間が長くても、相手のミスから効率よく決定機を作っています。
支配率とチームの市場価値だけでは、試合の優劣を判断できないことが分かる一戦でした。
ノッティンガム・フォレスト 0-1 リーズ
市場価値
- ノッティンガム・フォレスト:5億5,080万ユーロ(約991億4,400万円)
- リーズ:4億255万ユーロ(約724億5,900万円)
- 市場価値差:約266億8,500万円
市場価値15位のリーズが、11位のノッティンガム・フォレストに1-0で勝利しました。
決勝点が生まれたのは88分でした。アントン・シュタハが直接フリーキックを沈め、リーズが敵地で勝点3を手にしています。
支配率はフォレストが55%、シュート数も12対11でした。xGは0.65対0.49で、両チームとも決定機の少ない試合でした。
大きな差がなかったからこそ、セットプレーの一発がそのまま勝敗を分けています。
市場価値では約267億円下回るリーズでしたが、接戦をものにする勝負強さを見せました。
ブレントフォード 3-0 トッテナム
市場価値
- ブレントフォード:5億6,180万ユーロ(約1,011億2,400万円)
- トッテナム:8億2,950万ユーロ(約1,493億1,000万円)
- 市場価値差:約481億8,600万円
市場価値10位のブレントフォードが、6位のトッテナムを3-0で圧倒しました。
12分にキーン・ルイス=ポッターが先制すると、33分にヴィタリー・ヤネルト、49分にマイケル・カヨデが追加点を決めました。試合の早い段階で勝負を決めています。
トッテナムは支配率59%を記録しましたが、シュート数は9本でした。対するブレントフォードは26本のシュートを放ち、xGでも3.96対0.47と圧倒しました。
ブレントフォードにはPK失敗もあり、3-0というスコア以上の差があった試合です。
市場価値では約482億円下回っていましたが、この試合に限ればどちらが上位クラブなのか分からないほどの内容でした。
ブライトン 4-0 アストン・ヴィラ
市場価値
- ブライトン:5億8,850万ユーロ(約1,059億3,000万円)
- アストン・ヴィラ:5億2,130万ユーロ(約938億3,400万円)
- 市場価値差:約120億9,600万円
市場価値7位のブライトンが、13位のアストン・ヴィラに4-0で大勝しました。
ヴィクトル・リンデロフのオウンゴールで先制すると、マキシム・デ・カイペルが追加点を決めました。さらにジャック・ヒンシェルウッドが立て続けに2得点を奪いました。
ブライトンは支配率73%、シュート数21対6、xG3.67対0.31とあらゆる数字でヴィラを圧倒しました。ヴィラの枠内シュートは0本でした。
ヴィラは39分に退場者を出しましたが、その時点ですでにスコアは0-4でした。数的優位によって点差が広がったのではなく、ブライトンが試合開始から完全に主導権を握っていました。
市場価値ではブライトンが上回っているものの、4点差まで予想するのは難しかった一戦です。
マンチェスター・シティ 2-1 ボーンマス
市場価値
- マンチェスター・シティ:13億3,000万ユーロ(約2,394億円)
- ボーンマス:5億7,588万ユーロ(約1,036億5,840万円)
- 市場価値差:約1,357億4,160万円
市場価値3位のマンチェスター・シティが、9位のボーンマスに2-1で勝利しました。
ただし、内容は簡単なものではありません。
26分にマーカス・タヴァーニアが先制し、ボーンマスがリードしました。シティは支配率66%、シュート数13対5、xG2.35対0.63と試合を優位に進めながら、なかなか得点を奪えませんでした。
ようやく同点に追いついたのは84分でした。マルク・グエイがゴールを決めると、後半アディショナルタイムにはヨシュコ・グヴァルディオルが逆転ゴールを記録しました。
市場価値差は約1,357億円でした。最終的には市場価値上位のシティが勝利しましたが、84分までボーンマスがリードしていたことを考えると、数字ほど余裕のある試合ではありませんでした。
ニューカッスル 2-2 リヴァプール
市場価値
- ニューカッスル:5億8,630万ユーロ(約1,055億3,400万円)
- リヴァプール:9億6,300万ユーロ(約1,733億4,000万円)
- 市場価値差:約678億600万円
市場価値8位のニューカッスルと、4位のリヴァプールは2-2で引き分けました。
5分にアンソニー・エランガが先制し、ニューカッスルがリードしました。55分にコーディ・ガクポが同点ゴールを決めましたが、そのわずか2分後にジョー・ウィロックが勝ち越し点を奪いました。
このままニューカッスルが逃げ切るかと思われましたが、後半アディショナルタイム9分にドミニク・ソボスライがPKを決め、リヴァプールが土壇場で追いついています。
リヴァプールは支配率61%、シュート数27対13、xG2.73対1.43と試合を押し込みました。それでもニューカッスルは効率よくチャンスを得点につなげ、2度のリードを奪っています。
市場価値で約678億円上回るリヴァプールに対し、ニューカッスルが勝利まであと一歩に迫った試合でした。
フラム 2-3 チェルシー
市場価値
- フラム:3億4,880万ユーロ(約627億8,400万円)
- チェルシー:13億5,000万ユーロ(約2,430億円)
- 市場価値差:約1,802億1,600万円
市場価値2位のチェルシーが、17位のフラムに3-2で勝利しました。
チェルシーは開始わずか32秒、ジョアン・ペドロのゴールで先制しました。しかし23分にジョシュ・キングが同点にすると、41分にモーガン・ロジャーズ、49分にコール・パーマーが決めてチェルシーがリードを広げました。
フラムも54分にゴンサロ・ガルシアが1点を返しましたが、あと一歩及びませんでした。
市場価値差は約1,802億円ありましたが、フラムは支配率62%を記録しました。シュート数も14対18、xGも1.34対1.70と、試合内容では大きな差を感じさせませんでした。
チェルシーの市場価値上位3クラブらしい攻撃力と、守備面の不安が同時に表れた開幕戦だったといえます。
まとめ
プレミアリーグ第1節では、全10試合で30得点が生まれました。
市場価値上位クラブが勝利したのは、アーセナル、ブライトン、マンチェスター・シティ、チェルシーの4試合です。
一方で、ハル・シティ、エヴァートン、イプスウィッチ、リーズ、ブレントフォードの5クラブは、自分たちより市場価値の高い相手に勝利しました。ニューカッスルもリヴァプールと引き分けており、市場価値下位クラブが勝点を獲得した試合は全体の6割に達しています。
なかでも衝撃的だったのは、市場価値最下位のハルがマンチェスター・ユナイテッドを破った試合と、ブレントフォードがトッテナムを内容でも圧倒した試合です。
市場価値はクラブが抱える選手の質や層の厚さを表す重要な数字ですが、1試合の結果を保証するものではありません。
戦術、決定力、セットプレー、選手のコンディション。その日の90分では、市場価値に表れない要素が大きく結果を左右します。
市場価値ランキングがいきなり崩れたプレミアリーグの開幕節。この番狂わせが一時的なものなのか、それとも今シーズンの勢力図を変える兆候なのか、第2節以降も市場価値と結果を比較しながら追っていきます。
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