現代サッカーにおいて、守備的ミッドフィルダーは単なる“守備の蓋”ではありません。
ビルドアップの起点となり、攻守の切り替えを制御し、時にはゲームのテンポそのものを決定づける――いまやチームの構造を支える中枢です。
特に近年は、役割の多様化が顕著になっています。
ボール奪取に特化した破壊型、配球で試合を支配するレジスタ型、さらには得点にも絡めるダイナミック型。守備的ミッドフィルダーと一括りにしても、その中身は大きく異なります。
市場価値にもその傾向ははっきりと表れています。
1億€超の評価を受ける選手が複数存在する一方で、7500万€帯には完成度や戦術適応力で評価される選手が並びます。単純な守備スタッツだけでは測れない“総合的な価値”が価格に反映されているのが特徴です。
本記事では、2025/2026シーズン最新版のデータをもとに、世界の守備的ミッドフィルダー市場価値ランキングを整理します。
それぞれの価格が何を意味しているのか――タイプの違いにも注目しながら、現在の“アンカー市場”を読み解いていきます。
守備的ミッドフィルダー編 top10
9位 アダム・ウォートン
市場価値:6000万€(102億円)
ウォートンは守備的ミッドフィルダーとして着実に評価を高めている若手です。
2025/2026シーズンは公式戦37試合2851分に出場。プレミアリーグでは24試合1997分に立ち、チームの中盤を安定させています。失点数そのものは突出して抑えているわけではありませんが、クリーンシート率やパス数の安定感を見ると、チームの守備バランスに貢献していることが分かります。
90分あたり42本を超えるパス供給は、単なる守備専任型ではない証拠です。
危険なエリアを察知し、ボールを回収し、前進へつなげる。この一連の流れを安定してこなせることが評価につながっています。
6000万€という価格は、「守備強度+ビルドアップ能力」を兼ね備えた次世代アンカーとしての期待値込みの数字と言えるでしょう。
9位 カルロス・バレバ
市場価値:6000万€(102億円)
バレバは数字よりも“ポテンシャル評価”が強く反映されたタイプです。
2025/2026シーズンのプレミアリーグでは22試合出場。得点・アシストは多くありませんが、カード数からも分かる通り、強度の高い守備で中盤のフィルター役を担っています。
出場試合数はまだ限定的で、決定的なスタッツを残しているわけではありません。しかし、ボール奪取能力と対人強度はリーグ内でも評価が高く、将来的にトップクラブのアンカーへ成長する可能性を秘めています。
6000万€という価格は「現在の完成度」というより、「将来の市場価値上昇を見込んだ先行投資型の評価」と言えるでしょう。
8位 アレクサンダル・パヴロヴィッチ
市場価値:6500万€(110億5,000万円)
6500万€ゾーンに入ると、守備専任型というより“攻守両立型アンカー”の評価に変わってきます。
パヴロヴィッチは2025/2026シーズン公式戦36試合2520分に出場し、3ゴール1アシストを記録。ブンデスリーガでは19試合で3ゴールを挙げており、守備的ミッドフィルダーとしては得点関与が比較的高い部類に入ります。
90分あたり0.23ゴールという数値は、単なる潰し役ではないことを示しています。中盤底からのミドルシュート、セットプレーでの関与など、攻撃面でも存在感を発揮しています。
一方でアシストや決定機創出は突出しているわけではありません。しかし、若さとポテンシャル、そしてビッグクラブでの継続的な出場経験が評価を押し上げています。
6500万€という価格は、「守備強度+攻撃参加」という現代型アンカーの条件を満たし始めた段階の評価と言えるでしょう。
4位 ロドリ
市場価値:7500万€(127億5,000万円)
ロドリは長らく“世界最高峰の守備的ミッドフィルダー”として君臨してきました。しかし近年は負傷の影響が市場評価に影を落としています。
2024/2025シーズンに十字靭帯断裂という大怪我を経験。その後もハムストリングや膝のトラブルが続き、2025/2026シーズンは出場時間が限定的となっています。実際、欠場日数と試合離脱数は無視できない水準に達しています。
それでも評価が7500万€に留まっているのは、能力そのものが疑われているわけではないからです。
ロドリの最大の強みは、試合の構造を整える力にあります。
守備ブロック前でのボール回収、正確な縦パス、リスク管理。彼がピッチに立つだけでチームの安定感が増すという事実は、依然として変わりません。
ただし、市場は常に「稼働率」を見ます。
長期離脱と再発リスクは、ピーク時の評価(1億€超クラス)から一段落ちた理由の一つと考えられます。
つまり現在の7500万€という価格は、
・能力は依然トップクラス
・しかしコンディション面に不安がある
このバランスを反映した現実的な評価と言えるでしょう。
ロドリは依然として完成形のアンカーです。
ただし今後の市場価値は、“パフォーマンス”以上に“稼働率”が鍵を握る段階に入っています。
4位 サンドロ・トナーリ
市場価値:7500万€(127億5,000万円)
トナーリは守備的ミッドフィルダーでありながら、運動量とゲームメイクを兼ね備えたタイプです。
2025/2026シーズンは公式戦49試合3691分に出場。プレミアリーグでは27試合1866分に立ち、守備のフィルターとして安定したパフォーマンスを見せています。
ゴールやアシストは多くありませんが、彼の価値は“中盤のリズム作り”にあります。ボール回収後の素早い展開、縦への推進力、そして守備強度。攻守の切り替え局面での影響力が評価を支えています。
7500万€という価格は、完成されたバランサーとしての信頼値です。派手さはなくとも、試合を壊さない存在です。
4位 オーレリアン・チュアメニ
市場価値:7500万€(127億5,000万円)
チュアメニは“守備範囲の広さ”が最大の武器です。
2025/2026シーズンは公式戦35試合2930分に出場。ラ・リーガでは22試合1827分に立ち、アンカーとして安定した稼働を見せています。
攻撃関与は多くありませんが、危険エリアのカバーリング能力と対人守備の強度はトップクラスです。ビッグクラブで継続的に起用されていること自体が信頼の証と言えます。
7500万€という評価は、“世界基準の守備力”に対する価格です。攻撃型ではなく、純粋な守備型アンカーとしての完成度が反映されています。
4位 マルティン・スビメンディ
市場価値:7500万€(127億5,000万円)
スビメンディは、守備型でありながらビルドアップ能力が極めて高いタイプです。
守備ブロック前でのポジショニング、ボール保持時の落ち着き、縦パスの精度。数字以上に“試合の安定感”を生み出せる選手です。
攻撃関与は目立ちませんが、彼がいることで中盤のバランスが整います。強度だけでなく、判断力とポジショニングで勝負するアンカーです。
7500万€という価格は、派手なスタッツではなく、“戦術的価値”を市場が評価している証拠です。
3位 ライアン・フラーフェンベルフ
市場価値:9000万€(153億円)
フラーフェンベルフは守備的ミッドフィルダーの枠に収まりきらない“攻撃性を持つボックストゥボックス型”です。2025/2026シーズンは公式戦39試合3280分に出場し、プレミアリーグでは25試合4ゴール2アシストを記録。90分あたり0.16ゴール、0.24ゴール関与という数字は、このポジションとしては非常に優秀な部類に入ります。
推進力とサイズを活かした持ち上がり、ミドルレンジからのシュート、そして前線への飛び出し。純粋なアンカーというよりも、守備と攻撃をつなぐダイナミックな存在です。9000万€という評価は、守備力だけではなく“中盤から得点を生み出せる希少性”が反映されています。現代型の守備的ミッドフィルダー像を拡張する選手と言えるでしょう。
1位 ヴィティーニャ
市場価値:1億1000万€(187億円)
ヴィティーニャは、守備的ポジションにいながら攻撃面で圧倒的な存在感を示す選手です。2025/2026シーズンは公式戦40試合6ゴール10アシスト。リーグ・アンでは90分あたり0.38アシストを記録し、リーグ上位層の創造性を示しています。
守備的ミッドフィルダーでありながら、ゲームメイクとラストパスの両方を高水準で担える点が最大の価値です。単なるボール奪取役ではなく、“攻撃の起点そのもの”になれる存在です。1億1000万€という評価は、守備+創造性という二重の価値に対する市場の回答と言えるでしょう。
1位 モイセス・カイセド
市場価値:1億1000万€(187億円)
カイセドは強度と運動量で試合を支配するタイプです。2025/2026シーズンは公式戦35試合2872分に出場。プレミアリーグでは22試合3ゴール1アシストを記録し、守備的ミッドフィルダーとしては十分な攻撃関与も見せています。
彼の真価は、ボール奪取から即時展開までを一人で完結できる点にあります。広範囲をカバーする守備力と、奪った後の前進力。この両立が、プレミアリーグという強度の高い舞台で評価されています。1億1000万€という価格は、“強度の象徴”としての希少性を示しています。
まとめ
2025/2026シーズンの守備的ミッドフィルダー市場価値ランキングを振り返ると、いま求められているのは「守れる選手」ではなく、「試合を動かせる選手」であることがはっきりと見えてきます。
1億1000万€で並んだヴィティーニャとモイセス・カイセドは、方向性こそ異なりますが、どちらも“試合への影響力”という点で突出しています。
ヴィティーニャは創造性とゲームメイク、カイセドは強度とボール奪取力。守備的ポジションにいながら攻撃にも直結できることが、最高評価の理由です。
9000万€のフラーフェンベルフは、得点力と推進力を兼ね備えたダイナミック型。守備的ミッドフィルダーの枠を広げる存在として、市場から高い将来価値を見込まれています。
そして7500万€帯には、ロドリ、トナーリ、チュアメニ、スビメンディといった完成度の高いアンカーが並びます。
怪我の影響を受ける選手もいれば、安定した稼働率で評価を維持する選手もいます。ここでは「能力」だけでなく「信頼性」や「継続性」も価格に反映されています。
総じて言えるのは、守備的ミッドフィルダーはもはや裏方ではないということです。
中盤の制御、テンポの決定、攻守の接続。これらを担える選手こそが、現代サッカーで最も価値を持つポジションの一つとなっています。
市場価値は単なる数字ではありません。
それは、現代サッカーが何を求めているかを映し出す鏡でもあります。
守備的ミッドフィルダーの進化は、これからも価格に反映され続けるでしょう。
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