現代サッカーにおいて、左サイドバックに求められる役割は大きく変化しています。タッチライン際を上下動するだけでなく、ビルドアップでは中盤に入り、状況によってはセンターバックやウイングとしても振る舞う。複数の仕事を高い水準でこなせる選手ほど、市場で高く評価される時代になりました。
2026/27シーズン開幕直後のランキングにも、そうした変化がはっきり表れています。守備の安定感だけでなく、攻撃参加、ボール保持、複数ポジションへの対応力を備えた若手が存在感を強めました。
本記事では、左サイドバックの市場価値ランキングを紹介し、2025/26シーズン開幕時のデータとも比較します。なお、同額の選手は同順位としているため、TOP10には合計14人が登場します。
※市場価値はTransfermarktを参考にした2026/27シーズン開幕直後のデータです。年齢は2026年9月15日時点。日本円は今回を1ユーロ=180円、2025/26シーズン開幕時を1ユーロ=170円として換算しています。年度間の増減は為替の影響を避けるためユーロ額で比較します。
左サイドバック市場価値ランキングTOP10【2026/27シーズン開幕直後】
10位 ヨレル・ハト
4000万ユーロ(約72億円)
所属:チェルシーFC
国籍:オランダ
年齢:20歳
10位タイの1人目は、チェルシーに所属するヨレル・ハトです。左サイドバックとセンターバックをこなせる守備者で、20歳ながらボールを持った際の落ち着きと前進力を備えています。
2025/26シーズンはチェルシーの公式戦で33試合に出場し、2得点を記録しました。前年開幕時の3500万ユーロから500万ユーロ上昇していますが、順位は8位タイから10位タイへ後退しています。これは評価が下がったのではなく、左サイドバック市場全体の価格帯が上がった結果と見るべきでしょう。
10位 ルイス・ホール
4000万ユーロ(約72億円)
所属:ニューカッスル・ユナイテッドFC
国籍:イングランド
年齢:22歳
ルイス・ホールは、2025/26シーズン開幕時のランキング圏外から新たにトップ10入りしました。中盤でもプレーできる技術と戦術理解度を持ち、左サイドからゲームを組み立てられる選手です。
2025/26シーズンは公式戦47試合に出場。ニューカッスルで継続的に出場機会を得たことが、市場価値4000万ユーロという評価につながっています。2026年9月には2031年までの新契約も結び、クラブの長期構想における重要性が明確になりました。
10位 ラヤン・アイト=ヌーリ
4000万ユーロ(約72億円)
所属:マンチェスター・シティFC
国籍:アルジェリア
年齢:25歳
ラヤン・アイ=ヌーリも4000万ユーロで10位タイです。ドリブルで相手の守備を崩せる攻撃型サイドバックで、ウイングバックとしても機能します。
2025年夏にウルヴァーハンプトンからマンチェスター・シティへ移籍し、2025/26シーズンは公式戦26試合に出場しました。前年開幕時の3500万ユーロから500万ユーロ上昇した一方、順位は8位タイから10位タイへ下がっています。ハトと同様、金額の上昇以上にポジション全体の相場が伸びたケースです。
10位 マクシミリアーノ・アラウホ
4000万ユーロ(約72億円)
所属:スポルティングCP
国籍:ウルグアイ
年齢:26歳
マキシ・アラウホは、前年開幕時の圏外から10位タイへ浮上しました。本職は左サイドのより高い位置ですが、ウイングバックや左サイドバックでも起用できる攻撃力の高い選手です。
2025/26シーズンは公式戦47試合で7得点を記録し、リーグ戦でも29試合5得点と結果を残しました。さらに2026年のワールドカップでは2得点1アシストを挙げ、国際舞台でも存在感を発揮。市場価値4000万ユーロで初登場したことは、現代のランキングが純粋な守備者だけでなく、複数の役割を担える選手を評価していることの表れです。
10位 アルフォンソ・デイヴィス
4000万ユーロ(約72億円)
所属:FCバイエルン・ミュンヘン
国籍:カナダ
年齢:25歳
爆発的なスピードを武器とするアルフォンソ・デイヴィスは、4000万ユーロで10位タイとなりました。万全の状態であれば、守備から一気に敵陣深くまで運べる世界屈指の左サイドバックです。
一方で、2025年に負った前十字靱帯のけがからの復帰は同年12月までずれ込みました。復帰後は得点も記録していますが、長期離脱の影響もあり、市場価値は前年開幕時の5000万ユーロから1000万ユーロ減少。順位も3位タイから10位タイへ下がりました。今季は継続してプレーできるかが、評価を戻すための大きなポイントになります。
9位 マイルズ・ルイス=スケリー
市場価値:4500万ユーロ(約81億円)
所属:アーセナルFC
国籍:イングランド
年齢:19歳
9位はアーセナルのマイルズ・ルイス=スケリーです。中盤出身の特性を生かし、左サイドバックから中央へ入ってボールを前進させられる点が高く評価されています。
2025/26シーズンは公式戦33試合に出場して4アシストを記録し、プレミアリーグを制したチームの一員となりました。市場価値は前年開幕時と同じ4500万ユーロですが、順位は5位タイから9位へ後退しています。19歳という年齢を考えれば、評価が停滞したというより、今後の上昇余地を大きく残した状態といえます。
5位 アルバロ・カレーラス
市場価値:5000万ユーロ(約90億円)
所属:レアル・マドリード
国籍:スペイン
年齢:23歳
5000万ユーロで5位タイに入ったアルバロ・カレーラスは、前年開幕時から大きく評価を伸ばした1人です。推進力のあるオーバーラップに加え、レアル・マドリードで求められる高い位置でのプレーにも適応しています。
2025/26シーズンは公式戦40試合前後に出場し、2得点3アシストを記録。市場価値は3500万ユーロから5000万ユーロへ1500万ユーロ上昇し、順位も8位タイから5位タイへ上がりました。名門で主力として実績を積み重ねたことが、そのまま市場評価に反映されています。
5位 ナサニエル・ブラウン
市場価値:5000万ユーロ(約90億円)
所属:FCバイエルン・ミュンヘン
国籍:ドイツ
年齢:23歳
ナサニエル・ブラウンは、前年開幕時の圏外から一気に5位タイへ入りました。攻撃参加のタイミングとラストパスに優れ、左サイドから得点機会を作れるドイツ代表のサイドバックです。
2025/26シーズンはアイントラハト・フランクフルトで公式戦42試合に出場し、4得点6アシストを記録。クラブのシーズン最優秀選手にも選ばれ、2026年のワールドカップではドイツ代表の先発左サイドバックを務めました。2026年夏にはバイエルンへ移籍し、2031年までの契約を締結。クラブと代表の双方で評価を高めた結果が、5000万ユーロという金額に表れています。
5位 アレハンドロ・バルデ
市場価値:5000万ユーロ(約90億円)
所属:FCバルセロナ
国籍:スペイン
年齢:22歳
アレハンドロ・バルデは、スピードと縦への突破力を持つバルセロナ育ちの左サイドバックです。22歳と若く、コンディションが整えば攻守両面で試合の流れを変えられます。
ただし、2025/26シーズンは筋肉系の問題に悩まされ、ラ・リーガでの出場時間は1874分にとどまりました。市場価値は前年開幕時の6000万ユーロから5000万ユーロへ1000万ユーロ減少し、順位も2位から5位タイへ後退。能力への評価は依然として高いものの、稼働率を安定させることが再上昇の条件になりそうです。
5位 フェデリコ・ディマルコ
市場価値:5000万ユーロ(約90億円)
所属:インテルナツィオナーレ・ミラノ
国籍:イタリア
年齢:28歳
フェデリコ・ディマルコは、左ウイングバックとして圧倒的な攻撃性能を発揮する選手です。高精度のクロスとセットプレー、味方との連係から数多くの決定機を生み出します。
2025/26シーズンはセリエAで6得点18アシストを記録し、リーグの年間最優秀選手に選出されました。市場価値は前年開幕時と同じ5000万ユーロながら、順位は3位タイから5位タイへ変化しています。28歳という年齢でも最高額を維持している点は、直近のパフォーマンスがいかに突出していたかを示しています。
4位 リッカルド・カラフィオーリ
市場価値:5500万ユーロ(約99億円)
所属:アーセナルFC
国籍:イタリア
年齢:24歳
4位はリッカルド・カラフィオーリです。左サイドバックとセンターバックの双方でプレーでき、持ち運びながら相手の守備をずらす能力にも優れています。
2025/26シーズンのプレミアリーグでは26試合に出場し、1得点2アシストを記録。負傷による離脱はあったものの、アーセナルのリーグ制覇に貢献しました。市場価値は3500万ユーロから5500万ユーロへ2000万ユーロ上昇し、順位も8位タイから4位へ。守備者としての質だけでなく、チームの戦術を広げられる希少性が評価されています。
3位 マルク・ククレジャ
市場価値:6000万ユーロ(約108億円)
所属:レアル・マドリード
国籍:スペイン
年齢:28歳
3位はマルク・ククレジャです。激しい対人守備、豊富な運動量、前線へのサポートを高い強度で続けられる点が持ち味です。
2025/26シーズンはチェルシーで公式戦49試合に出場し、1得点4アシストを記録。さらにスペイン代表として2026年ワールドカップ制覇に貢献し、夏にはレアル・マドリードへ移籍しました。市場価値は3500万ユーロから6000万ユーロへ2500万ユーロ上昇。今回の継続ランクイン組では最大の上げ幅となり、順位も8位タイから3位へ急上昇しています。
2位 ニコ・オライリー
市場価値:7000万ユーロ(約126億円)
所属:マンチェスター・シティFC
国籍:イングランド
年齢:21歳
2位はマンチェスター・シティのニコ・オライリーです。もともとは中盤を主戦場としてきましたが、左サイドバックでも持ち味を発揮。身長193センチのサイズ、技術、得点力を兼ね備えた現代型の大型プレーヤーです。
2025/26シーズンは公式戦51試合で9得点を挙げ、EFLカップ決勝ではアーセナルを相手に2得点を記録。大会決勝の最優秀選手に選ばれ、プレミアリーグの年間最優秀若手選手にも輝きました。前年開幕時は圏外でしたが、今回は7000万ユーロで2位まで上昇しています。左サイドバックという枠だけでは捉えきれない多機能性が、評価を一気に押し上げました。
1位 ヌーノ・メンデス
市場価値:8000万ユーロ(約144億円)
所属:パリ・サンジェルマンFC
国籍:ポルトガル
年齢:24歳
1位はパリ・サンジェルマンのヌーノ・メンデスです。圧倒的なスピードと対人守備、ボールを運ぶ力を兼ね備え、攻守の両局面で世界最高水準のパフォーマンスを見せています。
2025/26シーズンは公式戦40試合で6得点を記録。リーグ・アンでは20試合4得点5アシスト、UEFAチャンピオンズリーグでも17試合2得点2アシストを残し、PSGの大会連覇に貢献しました。市場価値は前年開幕時の7000万ユーロから8000万ユーロへ上昇し、2年連続で首位を維持。攻撃力だけに偏らず、トップレベルのウインガーと正面から勝負できる守備力が、他の候補との差を作っています。
2025/26シーズン開幕時との比較表
前年開幕時から続けてランクインした10人の変化は以下の通りです。順位だけを見ると後退していても、市場価値そのものが上がっている選手がいる点に注意が必要です。
| 選手 | 2025/26開幕時 | 2026/27開幕直後 | 市場価値の増減 | 順位の変化 |
|---|---|---|---|---|
| ヨレル・ハト | 8位・3500万€ | 10位・4000万€ | +500万€ | 8位→10位 |
| ラヤン・アイ=ヌーリ | 8位・3500万€ | 10位・4000万€ | +500万€ | 8位→10位 |
| アルフォンソ・デイヴィス | 3位・5000万€ | 10位・4000万€ | -1000万€ | 3位→10位 |
| マイルズ・ルイス=スケリー | 5位・4500万€ | 9位・4500万€ | 変動なし | 5位→9位 |
| アルバロ・カレーラス | 8位・3500万€ | 5位・5000万€ | +1500万€ | 8位→5位 |
| アレハンドロ・バルデ | 2位・6000万€ | 5位・5000万€ | -1000万€ | 2位→5位 |
| フェデリコ・ディマルコ | 3位・5000万€ | 5位・5000万€ | 変動なし | 3位→5位 |
| リッカルド・カラフィオーリ | 8位・3500万€ | 4位・5500万€ | +2000万€ | 8位→4位 |
| マルク・ククレジャ | 8位・3500万€ | 3位・6000万€ | +2500万€ | 8位→3位 |
| ヌーノ・メンデス | 1位・7000万€ | 1位・8000万€ | +1000万€ | 1位→1位 |
新たにトップ10へ入った4人
- ルイス・ホール:4000万ユーロ、10位タイ
- マキシ・アラウホ:4000万ユーロ、10位タイ
- ナサニエル・ブラウン:5000万ユーロ、5位タイ
- ニコ・オライリー:7000万ユーロ、2位
なかでもオライリーは、ランキング圏外から2位へ入った最大の新顔です。ブラウンもフランクフルト、ドイツ代表、そしてバイエルン移籍という流れの中で評価を急速に高めました。
トップ10圏外となった4人
- テオ・エルナンデス:前年開幕時8位タイ、3500万ユーロ
- アンソニー・ロビンソン:前年開幕時8位タイ、3500万ユーロ
- デスティニー・ウドギー:前年開幕時7位、4000万ユーロ
- ミロシュ・ケルケズ:前年開幕時5位タイ、4500万ユーロ
選手が一覧から外れた理由は、市場価値の変動だけとは限りません。データ上の主戦場が別ポジションに分類された場合や、同額帯の競争が激しくなった場合もあるため、「圏外=評価が大きく下がった」と単純に判断しないことが重要です。
市場全体は1年間で17%以上拡大
今回と前年開幕時はいずれも、同順位を含めて14人がランクインしています。そのため、2つの集計を比較すると市場全体の変化が見えやすくなります。
| 指標 | 2025/26開幕時 | 2026/27開幕直後 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 14人の市場価値合計 | 6億500万€ | 7億1000万€ | +1億500万€ |
| 1人当たりの平均 | 約4320万€ | 約5070万€ | 約+750万€ |
| 中央値 | 3750万€ | 5000万€ | +1250万€ |
| 首位の市場価値 | 7000万€ | 8000万€ | +1000万€ |
| ランキング最下限 | 3500万€ | 4000万€ | +500万€ |
14人の合計市場価値は6億500万ユーロから7億1000万ユーロへ増え、上昇率は約17.4%となりました。平均額だけでなく中央値も大きく伸びており、一部のスターだけが全体を押し上げたわけではありません。トップ10に入るための最低ラインも3500万ユーロから4000万ユーロへ上がっています。
ハトとアイ=ヌーリは市場価値が500万ユーロ上昇したにもかかわらず、順位は8位タイから10位タイへ後退しました。ルイス=スケリーとディマルコも金額を維持しながら順位を下げています。この4人の変化は、左サイドバック市場そのものが値上がりしていることを象徴しています。
若さと複数ポジション対応が評価を押し上げる
今回ランクインした14人の平均年齢は約23.6歳で、25歳以下が11人を占めます。さらに23歳以下に限っても7人おり、各クラブが長期的な価値を見込める若手へ高い評価を与えていることが分かります。
同時に目立つのが、従来の左サイドバック像に収まらない選手です。ハトとカラフィオーリはセンターバック、ルイス=スケリーとオライリーは中盤、アラウホはウイングやウイングバックでもプレーできます。ボール保持時の立ち位置を変えられる選手は、監督が試合中にシステムを調整するうえでも大きな価値を持ちます。
攻撃面の数字も重要です。ディマルコはリーグ戦で24得点関与、オライリーは公式戦9得点、ブラウンは公式戦10得点関与を記録しました。左サイドバックにも得点を直接生み出す働きが求められ、それが市場価値に反映されています。
複数の有力選手を抱える強豪クラブ
マンチェスター・シティ、レアル・マドリード、アーセナル、バイエルンは、それぞれ2人を今回のランキングに送り込んでいます。
| クラブ | ランクインした選手 | 市場価値合計 |
|---|---|---|
| マンチェスター・シティ | ニコ・オライリー、ラヤン・アイ=ヌーリ | 1億1000万€ |
| レアル・マドリード | マルク・ククレジャ、アルバロ・カレーラス | 1億1000万€ |
| アーセナル | リッカルド・カラフィオーリ、マイルズ・ルイス=スケリー | 1億€ |
| バイエルン | ナサニエル・ブラウン、アルフォンソ・デイヴィス | 9000万€ |
同じクラブ内でも選手の特徴は異なります。シティではオライリーのサイズと中央でのプレー、アイ=ヌーリのドリブルが使い分けられます。アーセナルではカラフィオーリのセンターバック適性と、ルイス=スケリーの中盤的な性格が戦術の選択肢を増やします。単なる同ポジションの競争ではなく、対戦相手や試合展開に合わせて異なる機能を選べることが強豪クラブの強みです。
まとめ
2026/27シーズン開幕直後の左サイドバック市場では、トップの評価がさらに上昇しただけでなく、中位から下位まで価格帯が一段上がりました。前年開幕時と同じ14人で比べても、合計市場価値は約17.4%増えています。
最大の上昇額を記録したククレジャ、ランキング圏外から2位へ入ったオライリー、5位タイへ浮上したブラウンなど、1年間で勢力図を変えた選手も少なくありません。その一方で、メンデスは市場価値を伸ばしながら首位を維持し、左サイドバックの基準点であり続けています。
今回のランキングから見えるのは、現代の左サイドバックが「守備を担当するサイドの選手」ではなくなったということです。中央での組み立て、センターバックとしての守備、ウイングのような突破、そして得点への直接関与。複数の役割を備えた若手が、今後もこのポジションの市場価値を押し上げていくでしょう。

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