久保建英、継続する存在感と確かな成長──ソシエダは激闘の末に惜敗
試合概要
前節のバリャドリード戦において、レアル・ソシエダの攻撃を司る“潤滑油”として、サイドから何度もチャンスを創出した久保建英。そのパフォーマンスは決して派手ではなかったが、ボールの流れを円滑にし、攻撃のテンポを生む存在として高く評価されました。
そして迎えた今節、敵地サンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリード戦。世界最高峰の舞台において、久保は前節の良い流れを引き継ぎつつ、より具体的な結果＝アシストという形でチームに貢献。2アシスト未遂と1アシストを記録し、攻撃陣の中心として躍動しました。
一方、試合は両者譲らぬ激しい展開となり、90分で決着がつかず延長戦へ突入。最終的にはリュディガーの劇的なヘディングにより、レアル・マドリードがトータルスコア5-4で勝利を収めました。
試合の流れ：取って取られてのシーソーゲーム
試合は序盤から緊張感ある展開に。先に均衡を破ったのはソシエダでした。16分、マリンとズビメンディの巧みなパスワークから最後はバレネチェアが冷静に右足を振り抜き、ゴール右隅に先制点を流し込みました。ソシエダにとっては理想的な立ち上がりでした。
しかし、マドリードはここから猛反撃に転じる。30分にエンドリッキがヴィニシウスのパスからループ気味の美技ゴールを決めて同点。さらに82分にはベリンガムが鮮やかなボレーで逆転弾を叩き込むと、86分にはチュアメニがコーナーから頭で押し込み、スコアは3-1に。
それでもソシエダはここから意地を見せました。80分には久保が鋭いスルーパスでオヤルサバルのゴールをアシスト。90+3分にも再びオヤルサバルがヘディングで同点弾を叩き込み、延長戦へと持ち込みました。
そして運命の115分。ギュレルのコーナーキックからリュディガーが競り勝ち、ヘディングでゴールネットを揺らす。これが決勝点となり、激闘はレアル・マドリードに軍配が上がりました。
久保建英：プレーの継続性と“次のステップ”
前節では、ボールを持っていない時間帯での動き、パスの受け方、スペースの活用など、チームのリズムを整える役割を果たしていた久保。今節ではそのベースを維持しながらも、より明確な「数字としての結果」に近づきました。
80分、オヤルサバルへのラストパスは、まさにタイミングと精度が完璧に合致した一撃でした。78分にも正確なクロスで決定機を演出。さらに90+2分には自らカウンターで持ち運び、カマヴィンガに止められてファウルを誘発。単にアシストしたというだけでなく、90分間を通じて相手守備を引きつけ、リズムを生み出す存在でした。
また、ドリブルの仕掛けやボールロストの少なさも特筆すべき点で、試合後には現地メディアも「個人の技術と判断力が、レアル・マドリードの守備を数度にわたり混乱させた」と評価。久保にとってこの試合は、単なる1アシスト以上の価値を持つ内容だったといえるでしょう。
試合のカギとなった場面
この試合の分岐点は幾つか存在しましたが、特筆すべきは終盤の久保とオヤルサバルのコンビネーションでソシエダが再び同点に追いついた90+3分の場面でした。ロスタイムの土壇場で、久保のキープ力と展開力が前線に時間をもたらし、それがオヤルサバルの2点目へとつながりました。
一方、レアルにとっては、115分のセットプレーが試合の流れを決定づけました。ギュレルの精度の高いキックとリュディガーのフィジカルの強さ。ソシエダはこの局面でマークが曖昧になっており、一瞬の隙を突かれた形でした。
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注目選手
- アントニオ・リュディガー（レアル・マドリード）
延長後半、重圧のかかる場面での値千金のゴール。守備でも空中戦で圧倒的な存在感を発揮。 - ミケル・オヤルサバル（ソシエダ）
2得点を記録し、ストライカーとしての決定力を示した。久保とのホットラインが絶妙でした。 - 久保建英（ソシエダ）
1アシストを記録し、78分・80分・90+2分と終盤にかけて存在感が増した。試合を通してパス、ドリブル、ポジショニングと多彩なスキルで攻撃を支えました。
試合結果の振り返りと今後の展望
4-4というスコアに表れているように、非常に見応えのある攻防が繰り広げられた試合だった。延長戦に持ち込むまでの粘り、久保の好調の維持、そしてオヤルサバルの決定力。レアル・ソシエダにとっては、勝てなかったとはいえ確かな手応えを感じさせる内容でした。
前節の「仕掛ける久保」、今節の「結果を出す久保」。この2試合を通じて、久保建英という選手のプレーヤーとしての成長と安定感は確かなものとして映ります。今後さらにチームが彼のプレースタイルを軸に据えていくことで、ラ・リーガ上位争いへの可能性は広がっていくことでしょう。
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