最後に取り上げるのは、近年ますます存在感を増しているメジャーリーグサッカー(MLS)です。かつては欧州や南米の大物選手がキャリア終盤に移籍するリーグという印象も強かったMLSですが、近年は若手有望株の輩出や欧州から全盛期のスターを呼び寄せるケースも増え、その市場価値は確実に上昇しています。アメリカやカナダのビッグマーケットを背景に、観客動員や投資規模も拡大し、サッカー界における存在感は年々大きくなっています。
2025/2026シーズン開幕直後のランキングには、リオネル・メッシのような世界的スーパースターから、アルミロンやエヴァンデルといった中堅選手、さらに新たに注目を集める若手まで、多彩な顔ぶれが並びました。経験と実績を誇るスターと、将来性を評価される選手が共存している点は、MLSならではの特徴とも言えます。
本記事では、そのMLS市場価値ランキングTOP10を紹介し、リーグを彩るスターたちから今後飛躍が期待される新鋭まで、注目すべき選手たちの最新評価を詳しく見ていきます。
市場価値ランキング – MLSリーグ編
9位 イルビング・ロサーノ(サンディエゴFC)
1000万€(17億円)
2025シーズンから新規参入したサンディエゴFCの顔として迎えられたのが、メキシコ代表ウインガーのイルビング・ロサーノです。これまでナポリやPSVで活躍してきた彼は、MLSでもその爆発力をすぐに発揮しました。シーズン序盤から持ち前のスピードと鋭いカットインでゴールに直結するプレーを見せ、クラブの歴史的なスタートを後押し。創設1年目のチームながらリーグ内でも存在感を示す要因となりました。
ロサーノの特長は、相手を一瞬で置き去りにする加速力とシュートの正確さです。右サイドからのカットインだけでなく、左サイドでも柔軟にプレーできるため、攻撃の幅を大きく広げています。負傷による短期離脱もありましたが、復帰後は再びチームをけん引するパフォーマンスを披露。観客を沸かせるダイナミックなプレースタイルは、サンディエゴのホームゲームを盛り上げる最大の魅力になっています。
市場価値は1,000万ユーロ(約17億円)。メキシコ代表としても依然主力を務めており、2026年W杯に向けてさらに注目が集まる選手です。MLS2年目となる2026シーズンは、アンダース・ドレイアーらとの連携をさらに深めながら、クラブを上位に押し上げる活躍が期待されています。
9位 ミゲル・アルミロン(アトランタ・ユナイテッドFC)
1000万€(17億円)
ニューカッスルでの挑戦を終え、2025シーズンから古巣アトランタに復帰したのがミゲル・アルミロンです。かつてMLSを代表するスターとしてチームをMLSカップ優勝に導いた経験を持つ彼は、再びその存在感を示しています。プレミアで培った経験とスピードを武器に、カウンターの起点としても、前線で違いを作る選手としてもチームに不可欠な存在です。
アルミロンの魅力はやはり軽快なドリブルと豊富な運動量。前線からのハードワークで守備にも貢献しつつ、攻撃では細かいタッチで相手をかわしながらゴール前に迫ります。MLS復帰後もそのスタイルは健在で、特に若手選手にとっては良きお手本となる存在でもあります。観客からの人気も高く、再びアトランタの象徴としてスタジアムを沸かせています。
市場価値は1,000万ユーロ(約17億円)。30歳を超えてもなお衰えを見せず、むしろ経験値がプレーに安定感を加えています。2026シーズンはエマヌエル・ラッテ・ラースらと共に攻撃をけん引し、再びタイトル争いに挑むシーズンとなりそうです。
8位 アンデルス・ドライヤー(サンディエゴFC)
1200万€(20億4,000万円)
2025シーズン、MLSに新規参入したサンディエゴFCの攻撃を彩ったのが、デンマーク出身のウインガー、アンデルス・ドライヤーです。ミッティランやアンデルレヒトで実績を積んできた彼は、創設初年度からクラブの中心選手としてプレー。スピードに乗った仕掛けと鋭いシュートでゴールを重ね、イルビング・ロサーノとともにリーグ屈指の攻撃コンビを形成しました。
ドライヤーの特長は、常にゴールを狙う積極性とフィニッシュの精度です。両足を器用に使えるためカットインとアウトサイドの突破を使い分け、相手守備に的を絞らせません。また、セットプレーのキッカーとしても優れており、直接FKや正確なクロスで得点を演出する力を持っています。新しいクラブの歴史を作る上で、彼の存在は欠かせないものになっています。
市場価値は1,200万ユーロ(約20億4,000万円)。デンマーク代表歴も持ち、国際舞台での経験がMLSの舞台でも生かされています。2026シーズンは、ロサーノとの連携をさらに深めながら、クラブをプレーオフ進出に導けるかが注目のポイント。サンディエゴのファンにとっては、長期的なチームの柱として期待される選手です。
7位 ケヴィン・デンキー(FCシンシナティ)
1400万€(23億8,000万円)
デンマーク代表にも名を連ねる若きストライカー、ケヴィン・デンキーは、2025シーズンにシンシナティへ加入するとすぐにその才能を発揮しました。力強さとスピードを兼ね備えたプレーでゴール前の脅威となり、MLS初年度から二桁得点をマーク。フィジカルの強さを武器にポストプレーでも存在感を見せ、チームメイトの攻撃を支える役割も果たしました。
デンキーの持ち味は、一瞬で相手を振り切る加速力と冷静なフィニッシュ。ゴール前での嗅覚も鋭く、クロスに合わせる動きやこぼれ球への反応も優れています。また、前線からの守備で相手を追い込み、ボール奪取に絡む姿勢も高く評価されています。シンシナティにとっては攻守両面で欠かせないピースと言えるでしょう。
市場価値は1,400万ユーロ(約23億8,000万円)。まだ24歳と伸びしろも十分で、ヨーロッパ復帰の可能性もささやかれていますが、クラブとしてはエースとしての地位を確立してほしいところです。2026シーズンは同僚のエヴァンデルとともに攻撃の中心を担い、シンシナティをMLSカップ争いへ押し上げる存在となることが期待されています。
6位 エヴァンデル(FCシンシナティ)
1400万€(23億8,000万円)
ブラジル出身の攻撃的MF、エヴァンデルは2023年にMLSへ挑戦して以降、その創造性と技術でリーグ屈指のプレーメーカーとして地位を築いています。ポートランド・ティンバーズで存在感を示した後、2025シーズンからFCシンシナティに加入。攻撃のタクトを振るい、加入初年度からチームの攻撃力を一段押し上げました。
エヴァンデルの魅力は、巧みなボールコントロールと広い視野から繰り出されるラストパスです。中央での配球はもちろん、ドリブルで前線に持ち運んでチャンスメイクする力も兼ね備え、チームのリズムを自在に操ります。またセットプレーでも頼れる存在で、正確なキックから得点を演出。シンシナティの攻撃において欠かせないキーマンとなっています。
市場価値は1,400万ユーロ(約23億8,000万円)。MLSでもトップクラスの司令塔と評される彼の存在は、前線のデンキーとの相乗効果を生み出し、クラブを上位に押し上げる大きな要因となっています。2026シーズンも得点とアシストの両面で結果を残し、シンシナティをタイトル争いへ導く活躍が期待されています。
4位 リオネル・メッシ(インテル・マイアミCF)
1800万€(30億6,000万円)
MLSに旋風を巻き起こしたリオネル・メッシは、2023年の加入から今もなおリーグの顔として輝き続けています。2024・25シーズンも得点とアシストでチームをけん引し、インテル・マイアミの攻撃の中心に君臨しました。37歳となった今もその左足の精度は衰えを知らず、FKやスルーパスで一瞬にして試合の流れを変える力を持っています。
メッシの強みは、やはり圧倒的なゲームコントロール能力。プレースピードが落ちても、スペースを見抜く視野と的確な判断力は世界最高峰のままです。MLSの舞台では彼の存在感は絶大で、スタジアムを満員にし、リーグ全体の価値を引き上げる象徴的存在となっています。
市場価値は1,800万ユーロ(約30億6,000万円)。かつてに比べれば金額は下がっているものの、その影響力やブランド価値は比類なきものです。2026シーズンは新加入のデ・パウルらと共にプレーし、ラストキャリアの中で再びMLS制覇を狙う年となるでしょう。
4位 エマヌエル・ラッテ・ラス(アトランタ・ユナイテッドFC)
1800万€(30億6,000万円)
2025年にアストン・ヴィラからアトランタ・ユナイテッドに加入したガーナ出身FW、エマヌエル・ラッテ・ラスは、MLSにおいて急速に評価を高めています。スピードと推進力に優れたドリブラーでありながら、ゴール前での冷静さも兼ね備え、加入初年度からチームの攻撃を牽引しました。アルミロンとのコンビは、アトランタ攻撃陣に新たな躍動感を与えています。
ラッテ・ラスの武器は、縦への突破力とゴールへの鋭い嗅覚です。サイドでも中央でもプレーできる柔軟性を持ち、相手DFにとって常に脅威となる存在です。また前線からの献身的なプレスで守備面にも貢献し、チーム全体の戦い方を引き締める役割を果たしています。年齢的にもまだ伸びしろがあり、今後のMLSを代表するストライカーに成長する可能性を秘めています。
市場価値は1,800万ユーロ(約30億6,000万円)。その数字は彼の将来性と現在のパフォーマンスを物語っています。2026シーズンは、アルミロンとの連携をさらに深め、アトランタをタイトル争いの常連へと押し上げる原動力となることが期待されます。
1位 ロドリゴ・デ・パウル(インテル・マイアミCF)
2000万€(34億円)
アトレティコ・マドリードから移籍し、2025シーズンからMLSに新たな挑戦を始めたのがロドリゴ・デ・パウルです。アルゼンチン代表の中核を担う万能型MFは、インテル・マイアミに加入するとすぐにメッシやブスケツらと息の合った連携を見せ、チームの中盤を支える存在となりました。豊富な運動量で攻守をつなぎ、正確なパスと的確な守備で試合のリズムを作り出しています。
デ・パウルの魅力は、攻撃と守備の両面でクオリティを発揮できることです。中盤でのボール奪取から即座に前線へつなぐ展開力はもちろん、ミドルシュートやラストパスでも違いを生み出せる点が大きな強みです。経験豊富な彼の加入によって、マイアミはよりバランスの取れたチームへと進化しました。
市場価値は2,000万ユーロ(約34億円)。ヨーロッパトップクラブからMLSに舞台を移したことで「リーグ全体の質を引き上げる存在」としても注目されています。2026シーズンはメッシとの共演をさらに深め、クラブをMLSカップ制覇へと導くことが期待されています。
1位 ソン・フンミン(ロサンゼルスFC)
2000万€(34億円)
トッテナムで長年プレミアリーグを代表するアタッカーとして活躍してきたソン・フンミンは、2025シーズンからMLSのロサンゼルスFCに加入しました。韓国代表の絶対的エースとしても知られる彼の移籍は、リーグ全体に大きな話題を呼び、アジア市場からの注目も一気に集めています。加入初年度からそのスピードと得点力を発揮し、LAFCの攻撃に即座にフィットしました。
ソンの武器は、抜群のスプリント力と両足から繰り出される高精度のフィニッシュです。カウンター時の爆発的な推進力はMLSでも群を抜き、ゴール前では冷静にネットを揺らす決定力を見せています。また、プレミアで培った経験値とプロフェッショナリズムは、チームの若手選手にとっても大きな刺激となっています。
市場価値は2,000万ユーロ(約34億円)。30代半ばに差しかかっていますが、その存在感は衰えることなく、むしろMLSのレベルを引き上げる象徴的な選手といえるでしょう。2026シーズンはゴールとリーダーシップでクラブをタイトル争いに導き、LAFCをさらなる高みに押し上げることが期待されています。
1位 リキ・プッチ(LAギャラクシー)
2000万€(34億円)
バルセロナのカンテラ出身で、若くしてトップチームデビューを果たしたリキ・プッチは、2022年にLAギャラクシーへ渡ってからクラブの象徴的存在へと成長しました。MLSに来て以降、その小柄な体格ながらも抜群のテクニックと視野の広さを武器に中盤を支配し、試合を決定づけるパスやリズムを供給しています。2025シーズンも変わらずチームの中心として活躍し、リーグ屈指のプレーメーカーとしての評価を確立しました。
プッチの魅力は、テンポよくボールをさばきながらチャンスを生み出すプレースタイルにあります。ショートパスでの連携はもちろん、鋭い縦パスやドリブルでの持ち上がりもできるため、相手守備陣に常に的を絞らせません。ゲームメイク能力だけでなく、得点に絡む積極性も増しており、MLSで着実に成長を続けています。
市場価値は2,000万ユーロ(約34億円)。ヨーロッパからMLSに渡った選手の中でも成功例のひとりとして評価が高まり、ギャラクシーにとってはまさにチームの顔です。2026シーズンはさらに得点力を伸ばし、ギャラクシーを王座奪還へ導けるかが注目されます。
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まとめ
2025/2026シーズン開幕直後のMLS市場価値ランキングTOP5では、リキ・プッチ(LAギャラクシー/2000万ユーロ=約34億円)が首位に立ちました。バルセロナ出身のテクニカルなMFは、MLSにおいても攻撃の中心として確固たる評価を築き上げ、リーグを代表する存在へと成長しています。
同じく1位タイに、アジアを代表するスターであるソン・フンミン(ロサンゼルスFC/2000万ユーロ=約34億円)がランクイン。プレミアリーグで培った決定力と国際的な知名度はMLSにおいても大きな影響力を持ち、リーグの注目度をさらに高めています。さらに3人目の1位タイに、ワールドカップ制覇を経験したロドリゴ・デ・パウル(インテル・マイアミ/2000万ユーロ=約34億円)が入り、豊富な経験と中盤での存在感で高く評価されました。
その後には、エマヌエル・ラッテ・ラース(アトランタ・ユナイテッド/1800万ユーロ=約30億6000万円)と、依然として世界的スターであり続けるリオネル・メッシ(インテル・マイアミ/同)が並びました。メッシはキャリア終盤を迎えてもなお、MLSにおける象徴的存在であり、その存在感はリーグ全体の価値を押し上げています。
今回のランキングからは、バルセロナやプレミアリーグで実績を積んだスター選手たちがMLSに集結し、若手や新戦力と共存する姿が浮かび上がります。欧州のトップレベルを経験した選手がリーグの質を引き上げると同時に、MLSが単なる「引退前の選択肢」ではなく、競争力ある舞台として注目されていることを示す結果となりました。2026シーズンも、これらのスターがMLSを牽引し、リーグの市場価値をさらに押し上げていくことでしょう。
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