2024/2025シーズンも終了し、移籍市場が慌ただしさを増す中で、センターフォワード(CF)の市場価値ランキングは特に大きな注目を集めています。ゴールという最もわかりやすく、最も重要な結果を求められるこのポジションは、常に移籍市場での中心的存在であり続けています。シーズンを通じての活躍はもちろん、年齢や将来性、戦術適応力までが評価の対象となり、ランキングは毎年大きく動きます。
今シーズンも、多くのセンターフォワードがそれぞれのリーグで存在感を示しました。圧倒的な決定力で得点王争いを演じた選手、チームの戦術に完璧にフィットしてゴール以外でも多大な貢献を果たした選手、さらには若手ながらも急成長を遂げた新星まで、多様な顔ぶれが揃っています。特に近年では、ゴール前でのフィニッシュだけでなく、ビルドアップやプレスへの貢献、味方を活かすポストプレーなども高く評価される傾向が強まっています。
今回はTransfermarktの最新データをもとに、2024/2025シーズン終了時点のセンターフォワード市場価値ランキングをお届けします。いま最も価値あるストライカーたちが誰なのか、そしてその評価の背景にはどのような要素があるのか、最新のトレンドも踏まえながら詳しく見ていきましょう。
市場価値ランキング – センターフォワード編
10位 ヴィクター・オシムヘン(ガラタサライ)
7000万€(119億円)
ヴィクター・オシムヘンは、2024/25シーズンにガラタサライで圧巻のパフォーマンスを披露し、トルコ・スュペル・リグの得点王に輝きました。リーグ戦では30試合に出場し26ゴール5アシストを記録し、公式戦全体では40試合で36ゴールを挙げ、2000-01シーズンにマリオ・ジャルデルが樹立した外国人選手の1シーズン最多得点記録を更新しました。
この活躍により、ガラタサライはスュペル・リグとトルコカップの2冠を達成。5月14日のトルコカップ決勝ではトラブゾンスポルを3-0で下し、オシムヘンは2ゴールを挙げてマン・オブ・ザ・マッチに選出されました。
シーズン終了後、オシムヘンの去就には注目が集まっており、プレミアリーグのマンチェスターユナイテッドや、サウジアラビアのアル・ヒラルが彼の獲得を目指していると報じられています。
オシムヘンは、ガラタサライでの1年間のレンタル期間を終え、ナポリへの復帰が予定されていますが、彼の将来には多くのクラブが関心を寄せており、今後の動向が注目されています。
7位 マーカス・テュラム(インテル・ミラノ)
7500万€(127億5000万円)
マーカス・テュラムは、2024/25シーズンのインテル・ミラノにおいて、攻撃陣の中心選手として活躍しました。セリエAでは32試合に出場し14ゴール4アシストを記録し、チーム内得点ランキングで2位となりました。
シーズン前半には、トリノ戦でのハットトリックや、アタランタ戦での2得点など、印象的なパフォーマンスを披露しました。
しかし、2025年に入ってからは、セリエAでの得点数が15試合で2ゴールにとどまるなど、調子を落としました。
チャンピオンズリーグでは、14試合に出場し4ゴール1アシストを記録。 特に準決勝のバルセロナ戦では、先制ゴールを挙げるなど、重要な場面での活躍が光りました。
シーズン終了後、テュラムは自身のパフォーマンスについて「後半戦は前半ほど良くなかった」と認めつつも、チームの結束力とチャンピオンズリーグ決勝への進出を誇りに感じていると述べました。
現在、テュラムはインテルとの契約を2028年まで結んでおり、移籍の噂はあるものの、クラブは彼の残留を望んでいます。
7位 ヴィクトル・ギェケレシュ(スポルティングCP)
7500万€(127億5000万円)
ヴィクトル・ギェケレシュは、2024/25シーズンにスポルティングCPで圧倒的な活躍を見せ、クラブのリーグ連覇と国内カップ制覇に大きく貢献しました。リーグ戦では33試合に出場し39ゴール7アシストを記録し、ポルトガル・プリメイラ・リーガの得点王に輝きました。全公式戦では52試合で54ゴール13アシストをマークし、ヨーロッパ全体でもトップクラスの得点力を示しました。
シーズン序盤には、8月のリーグ戦で7ゴールを挙げ、月間最優秀選手とフォワード賞を受賞。11月にはマンチェスター・シティ戦でハットトリックを達成し、チャンピオンズリーグでの存在感も示しました。しかし、1月末にハムストリングの負傷により一時離脱を余儀なくされましたが、3月には復帰し、再び得点を重ねました。
スポルティングは、ギェケレシュ活躍により、リーグ最終節でヴィトーリアSCに2-0で勝利し、ベンフィカを抑えて21回目のリーグ優勝を達成。さらに、5月25日のタッサ・デ・ポルトガル決勝ではベンフィカを延長戦の末に3-1で下し、23年ぶりの国内二冠を達成しました。
この驚異的なパフォーマンスにより、ギョケレスは2024年のスウェーデン年間最優秀選手賞「グルドボレン」を受賞し、ヨーロッパ各国のクラブから注目を集めています。アーセナルやチェルシーが獲得に関心を示しており、アーセナルは約7000万ユーロの正式オファーを提示したと報じられています。スポルティングとの契約は2028年まで残っていますが、クラブは7000万〜7500万ユーロでの移籍を容認する可能性があるとされています。
ギェケレシュは、「スポルティングでのプレーを楽しんでおり、移籍を急いでいるわけではない」と述べていますが、今後の移籍市場での動向が注目されています。彼の得点力とプレースタイルは、プレミアリーグのクラブにとって魅力的な存在であり、今後のキャリアに大きな期待が寄せられています。
7位 オマル・マルムシュ(マンチェスター・シティFC)
7500万€(127億5000万円)
オマル・マルムシュは、2025年1月にアイントラハト・フランクフルトからマンチェスター・シティFCへ移籍し、2024/25シーズン後半においてチームの攻撃陣に新たな活力をもたらしました。移籍金は約7,000万ユーロと報じられ、契約期間は2029年夏までとなっています。
プレミアリーグでは16試合に出場し7ゴールを記録。特に2月のニューカッスル・ユナイテッド戦では、移籍後初のハットトリックを達成し、4-0の勝利に貢献しました。FAカップでも準々決勝のボーンマス戦で決勝ゴールを挙げ、チームを準決勝進出へ導きました。しかし、決勝のクリスタル・パレス戦ではPKを失敗し、チームは0-1で敗れました。
マンチェスター・シティはこのシーズン、プレミアリーグ3位、FAカップ準優勝、チャンピオンズリーグではラウンド16でレアル・マドリードに敗退するなど、主要タイトルを逃しました。クラブはこの結果を受けて、さらなる補強を進める方針を示しています。
マルムシュはそのスピードと多彩な攻撃力で、チームの攻撃オプションを広げる存在として期待されています。今後の活躍が注目される選手の一人です。
5位 ハリー・ケイン(バイエルン・ミュンヘン)
9000万€(153億円)
ハリー・ケインは、2024/25シーズンのバイエルン・ミュンヘンにおいて、ブンデスリーガ得点王のタイトルを連覇し、クラブのリーグ優勝に大きく貢献しました。ブンデスリーガでは31試合に出場し26ゴール8アシストを記録し、全公式戦では38ゴールを挙げました。
このシーズン、ケインはブンデスリーガでの通算ゴール数を60に伸ばし、初の主要タイトルとなるブンデスリーガ優勝を達成しました。
チャンピオンズリーグでは、13試合で11ゴールを記録し、チームのベスト8進出に貢献しました。
ケインは、プレミアリーグの通算得点記録を持つアラン・シアラーの記録を追い求めており、2026年にプレミアリーグへ復帰する可能性が報じられています。
バイエルン・ミュンヘンは、2024/25シーズンのブンデスリーガで33回目の優勝を果たし、ケインにとっては初の主要タイトルとなりました。
ケインは、バイエルンでの活躍により、ブンデスリーガでの得点王を連覇し、クラブのリーグ優勝に大きく貢献しました。
このように、ケインは2024/25シーズンにおいて、個人としてもチームとしても大きな成果を上げ、今後のキャリアにも注目が集まっています。
5位 フリアン・アルバレス(アトレティコ・マドリード)
9000万€(153億円)
フリアン・アルバレスは、2024/25シーズンにアトレティコ・マドリードへ移籍し、即座にチームの主力として活躍しました。ラ・リーガでは37試合に出場し17ゴール4アシストを記録し、全公式戦では27ゴールを挙げました。
特に注目すべきは、彼の得点の多くが試合の先制点であったことです。アルバレスは公式戦で12試合において先制点を挙げ、チームに勢いをもたらしました。
また、チャンピオンズリーグでは7ゴールを記録し、期待された得点数を大きく上回るパフォーマンスを見せました。彼のシュート精度は高く、枠内シュートの約50%がゴールに結びついています。
このような活躍により、アトレティコ・マドリードはラ・リーガで3位に入り、チャンピオンズリーグ出場権を獲得しました。
アルバレスのパフォーマンスは他クラブの注目も集めており、アーセナルやリヴァプールが関心を示していると報じられています。しかし、アトレティコ・マドリードは彼との契約を2030年まで結んでおり、移籍金は約9,500万ユーロとされているため、放出の可能性は低いと見られています。
アルバレスは、アトレティコ・マドリードでの初年度において、チームの攻撃の中心として確固たる地位を築き、今後の活躍がさらに期待されています。
4位 ラウタロ・マルティネス(インテル・ミラノ)
9500万€(161億5000万円)
ラウタロ・マルティネスは、2024/25シーズンのインテル・ミラノにおいてキャプテンとしてチームを牽引し、国内外での活躍を通じてその存在感を示しました。
セリエAでは31試合に出場し12ゴール3アシストを記録。特にアウェイゲームでの得点力が際立ち、12ゴール中7ゴールを敵地で挙げました。また、非PKの期待得点(npxG)は11.18と、リーグ内でもトップクラスの数値を記録しました。
チャンピオンズリーグでは14試合で9ゴールを挙げ、インテルの決勝進出に大きく貢献しました。特に準々決勝のバイエルン・ミュンヘン戦では先制ゴールを決め、クラブの欧州大会における最多得点記録を更新しました。
シーズン中には、クラブ史上最多の外国人選手としての得点記録を更新し、通算134ゴールを達成しました。
2024年8月にはインテルとの契約を2029年まで延長し、クラブへの忠誠を示しました。
このように、ラウタロ・マルティネスは2024/25シーズンにおいて、インテル・ミラノの攻撃の中心として、またキャプテンとしてのリーダーシップを発揮し、チームの成功に大きく貢献しました。
3位 アレクサンダー・イサク(ニューカッスル・ユナイテッドFC)
1億€(170億円)
アレクサンダー・イサクは、2024/25シーズンのニューカッスル・ユナイテッドにおいて、チームの攻撃を牽引する中心選手として活躍しました。プレミアリーグでは34試合に出場し23ゴール6アシストを記録し、全公式戦では42試合で27ゴールを挙げました。この活躍により、イサクはクラブのシーズン得点王となりました。
シーズン中、イサクは複数の記録を樹立しました。2024年12月21日のイプスウィッチ・タウン戦では、開始25.95秒でゴールを決め、ニューカッスルのプレミアリーグにおける最速アウェイゴール記録を更新しました。また、同試合でハットトリックを達成し、2003年のフレドリック・ユングベリ以来、プレミアリーグでハットトリックを達成した初のスウェーデン人選手となりました。
2025年2月23日のノッティンガム・フォレスト戦では、イサクが2ゴールを挙げ、プレミアリーグ通算50ゴールに到達しました。これは76試合での達成であり、クリスティアーノ・ロナウドやティエリ・アンリ、ハリー・ケイン、セルヒオ・アグエロよりも早い記録となりました。
また、イサクはホームとアウェイの両方で10ゴール以上を記録し、アラン・シアラーとアンディ・コールに次ぐ、クラブ史上3人目の快挙を達成しました。
イサクの活躍により、ニューカッスルは2025年3月16日のEFLカップ決勝でリヴァプールを2-1で下し、70年ぶりの国内タイトルを獲得しました。この試合でイサクは後半開始直後にゴールを決め、勝利に貢献しました。
プレミアリーグでは最終節でエヴァートンに敗れたものの、他チームの結果により5位を確保し、UEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得しました。
イサクの活躍は他クラブの注目を集めており、アーセナルやリヴァプールなどが関心を示していると報じられています。ニューカッスルは彼の移籍金を1億5000万ポンド(約180億円)に設定し、契約は2028年まで残っています。
このように、イサクは2024/25シーズンにおいて、ニューカッスルの攻撃の中心として、またクラブの成功に大きく貢献する存在となりました。今後の活躍にも大きな期待が寄せられています。
2位 キリアン・エムバペ(レアルマドリード)
1億7000万€(289億円)
キリアン・エムバペは、2024/25シーズンをもってパリ・サンジェルマン(PSG)を退団し、レアル・マドリードへ移籍しました。このシーズン、彼はPSGでの最後の年として、リーグ・アンで31試合に出場し27ゴールを記録し、クラブのリーグ優勝に貢献しました。また、チャンピオンズリーグでは8ゴールを挙げ、得点王に輝きました。シーズン終了後、彼はPSGの歴代最多得点者としてクラブを去りました。
エムバペの退団後、PSGはルイス・エンリケ監督の下でチームを再構築し、スター選手に依存しない組織的な戦術を採用しました。この新たなアプローチにより、PSGはリーグ・アンとクープ・ドゥ・フランスの2冠を達成し、チャンピオンズリーグもとることができました。
一方、エムバペはレアル・マドリードでの初年度において、ラ・リーガで34試合に出場し31ゴールを記録し、ピチーチ賞(得点王)と自身初のヨーロッパ・ゴールデンシューを獲得しました。また、クラブのデビューシーズン最多得点記録を更新し、アルフレッド・ディ・ステファノやイバン・サモラーノの記録を上回りました。
このように、エムバペはPSGでの最後のシーズンを成功裏に終え、新天地レアル・マドリードでも輝かしいスタートを切りました。彼の今後の活躍に大きな期待が寄せられています。
1位 アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティFC)
2億€(340億円)
アーリング・ハーランドは、2024/25シーズンもマンチェスター・シティの得点源として活躍し、公式戦44試合で31ゴールを記録しました。プレミアリーグでは31試合に出場し22ゴールを挙げ、シーズン序盤には5試合で10ゴールを記録するなど、圧倒的な得点力を示しました。
チャンピオンズリーグでは9試合で8ゴールをマークし、得点ランキング上位に名を連ねました。特にグループステージでの活躍が際立ち、チームの決勝トーナメント進出に貢献しました。
シーズン中盤には足首の負傷により数試合を欠場しましたが、復帰後も安定したパフォーマンスを維持。3月にはプレミアリーグ通算100ゴール関与を94試合で達成し、史上最速記録を更新しました。
2025年1月にはクラブとの契約を2034年まで延長し、週給50万ポンドの新契約を締結。また、2月にはチームキャプテンに任命され、リーダーシップを発揮しました。
チームとしては、プレミアリーグ3位、FAカップ準優勝、チャンピオンズリーグでは早期敗退と、期待された結果を残せませんでした。ハーランド自身も「今季は最悪だった」と振り返り、チーム全体のパフォーマンスに対する不満を示しました。
それでも、ハーランドの個人としての得点力と存在感は際立っており、来季の巻き返しに向けて中心的な役割を担うことが期待されています。
まとめ
2024/2025シーズン終了時点のセンターフォワード市場価値ランキングは、現代サッカーにおけるストライカー像の多様性と進化を如実に反映した結果となりました。1位に輝いたのは、依然としてその決定力と存在感で他を圧倒するアーリング・ハーランド。1億8000万ユーロ(約306億円)という驚異的な市場価値は、マンチェスター・シティでの安定したゴール量産と若さを考えれば納得の評価です。驚異的なフィジカルとフィニッシュ精度、そしてプレッシャーのかかる大舞台でも冷静さを失わないメンタリティは、今後もしばらくこのランキングの頂点を維持しそうです。
2位のキリアン・エムバペ(1億7000万ユーロ/約289億円)もまた、依然として世界屈指のストライカーとして君臨しています。スピードと得点力はもちろんのこと、プレーメイカーとしての貢献度も高まりつつあり、今後所属クラブの動向次第ではさらなる市場価値の上昇も期待されます。
3位には、プレミアリーグで圧巻の成長を見せたアレクサンダー・イサク(1億2000万ユーロ/約204億円)がランクイン。ニューカッスルでのシーズンを通して得点力とチャンスメイクの両面で輝きを放ち、一気にトップクラスの評価へと上り詰めました。
4位のラウタロ・マルティネス(9500万ユーロ/約161億5000万円)は、インテルのキャプテンとして安定感のある得点力を維持し続けており、安定感とリーダーシップを兼ね備えた現代型ストライカーとして評価を高めています。
5位には、バイエルンのハリー・ケイン、アトレティコ・マドリードのフリアン・アルバレスが9000万ユーロ(約153億円)で並びました。ケインは新天地でも変わらぬ得点力とポストプレーで評価を保ち、アルバレスは柔軟なポジショニングと高い得点感覚を武器に、クラブと代表の両方で結果を残しています。
今回のランキングからも、センターフォワードには単なるゴールスコアリング能力だけでなく、ビルドアップ参加や周囲を活かすプレー、戦術理解力など多面的な能力が求められていることがはっきりと読み取れます。また、ベテランから新世代まで幅広い年齢層がランキングに名を連ねており、今後も新たなスターの台頭と既存のスター選手の進化が続くことが予想されます。
今後の移籍市場や来季のパフォーマンスによって、ランキングの顔ぶれや順位はさらに変化していくでしょう。ストライカーという常に最も注目されるポジションで、次に頭角を現すのは誰なのか。今後もその動向から目が離せません。



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