2024/2025シーズン終了を迎え、今季の活躍を反映した最新の市場価値ランキングが発表される中で、右ウイング(RWG)というポジションも例年に増して注目を集めています。現代サッカーにおける右ウイングは、かつての「サイド突破役」から進化し、今では得点力・ゲームメイク・戦術理解を高い次元で求められるポジションとなりました。特に左利きの選手が右サイドでプレーする「インバーテッド・ウイング」のスタイルが主流となり、カットインからの強烈なシュートやスルーパスで試合を決定づけるシーンが増えています。
今シーズンも多くの右ウイングが各リーグで圧倒的な存在感を放ち、チームの攻撃の中心を担いました。若手の急成長、経験豊富な選手の安定したパフォーマンス、さらには新天地での適応力など、それぞれが持ち味を発揮しつつ競争の激しさを物語るシーズンとなりました。特に若手スターの台頭は著しく、今後数年間のサッカー界を牽引していく新世代の到来を強く感じさせるシーズンでもありました。
今回は、Transfermarktの最新データをもとに、2024/2025シーズン終了時点の右ウイング市場価値ランキングを紹介します。現代サッカーを象徴するこのポジションで、今シーズン誰が評価を高め、誰がトップグループに食い込んだのか。進化を続ける右ウイングの最新勢力図を詳しく見ていきましょう。
市場価値ランキング – 右ウイング編
8位 ブライアン・ムベウモ(ブレントフォード)
5500万€(93億5,000万円)
ブライアン・ムベウモは、2024/25シーズンのブレントフォードにおいて、プレミアリーグ全38試合に先発出場し、20ゴール7アシストを記録しました。 この得点数は、モハメド・サラー(29ゴール)、アレクサンダー・イサク(23ゴール)、アーリング・ハーランド(22ゴール)に次ぐリーグ4位の成績であり、ブレントフォードのプレミアリーグ史上最多得点記録に並びました 。
ムベウモは、期待得点(xG)を7.7上回る得点を挙げ、プレミアリーグで最もxGを上回った選手となりました 。
シーズン終了後、ムベウモはマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を希望し、週給25万ポンドという高額な給与を要求しています。 ブレントフォードは移籍金として6000万ポンドを求めており、ユナイテッドは4500万ポンド+アドオン1000万ポンドの初回オファーを提示しましたが、まだ合意には至っていません 。
ムベウモは2019年にトロワからブレントフォードに加入し、これまで公式戦242試合で70ゴール51アシストを記録しています 。
8位 イーサン・ヌワネリ(アーセナルFC)
5500万€(93億5,000万円)
イーサン・ヌワネリは、2024/25シーズンにアーセナルFCで飛躍的な成長を遂げ、公式戦37試合に出場し9ゴール2アシストを記録しました。 プレミアリーグでは26試合に出場し4ゴール2アシストを挙げ、 チャンピオンズリーグでは7試合で2ゴールを記録しました。 また、EFLカップでは2試合で3ゴールをマークし、 若干17歳ながらチームの攻撃陣において重要な役割を果たしました。
シーズン序盤、ヌワネリはEFLカップのボルトン戦で2ゴールを挙げ、 クラブ史上最年少での複数得点を達成しました。 プレミアリーグでは、11月のノッティンガム・フォレスト戦で初ゴールを記録し、 17歳247日でリーグ史上9番目の若さでの得点者となりました。 1月のブライトン戦では先発出場し、 アーセナルの選手として18歳未満で複数ゴールを決めた初の選手となりました。
チャンピオンズリーグでは、1月のジローナ戦で決勝ゴールを挙げ、 3月のPSV戦でも得点を記録しました。 これにより、ヌワネリは同大会のノックアウトステージで得点を挙げた最年少選手の一人となりました。
2月には、プレミアリーグのレスター戦でアシストを記録し、 17歳331日でアーセナルの選手として最年少のアシスト記録を更新しました。 この活躍が評価され、同月のクラブ月間最優秀選手に選出されました。
シーズン終了後、ヌワネリは背番号を53から22に変更し、 クラブからの期待の高さがうかがえます。 また、アーセナルは彼との契約延長に向けて交渉を開始しており、 将来的なチームの中心選手としての地位を確立しつつあります。
このように、ヌワネリは2024/25シーズンにおいて、若干17歳ながらアーセナルの攻撃陣において重要な役割を果たし、今後のさらなる成長と活躍が期待されます。
8位 エステヴァン(パルメイラス)
5500万€(93億5,000万円)
エステヴァン・ウィリアン(メッシーニョ)は、2025シーズンのパルメイラスにおいて、公式戦32試合に出場し11ゴールを記録し、チームの攻撃陣を牽引しました。 特にカンピオナート・パウリスタでは5ゴール、コパ・リベルタドーレスでは4ゴール、コパ・ド・ブラジルでは2ゴールを挙げ、チームの各大会での成功に貢献しました。
シーズン中、エステヴァンはその卓越したドリブル技術と創造性で注目を集めました。 特に、サンベルナルド戦での2得点や、セロ・ポルテーニョ戦での強烈な左足シュートは、彼の才能を示す象徴的なプレーとなりました。
また、エステヴァンは2024年にチェルシーと契約を結び、2025年7月に正式に加入する予定です。 この移籍は、彼の将来性を評価した結果であり、ヨーロッパでの活躍が期待されています。
このように、エステヴァン・ウィリアンは2025シーズンにおいて、パルメイラスの攻撃の中心として活躍し、今後のさらなる成長と国際的な舞台での活躍が期待される選手となりました。
7位 デジレ・ドゥエ(パリ・サンジェルマンFC)
6000万€(102億円)
デジレ・ドゥエは、2024/25シーズンにパリ・サンジェルマン(PSG)へ加入し、公式戦で15ゴール9アシストを記録するなど、チームの攻撃陣において重要な役割を果たしました。 リーグ・アンでは31試合に出場し、6ゴール6アシストを挙げ、 チャンピオンズリーグやクープ・ドゥ・フランスでも得点を重ねました。
ドゥエは、2024年8月にスタッド・レンヌからPSGへ移籍し、契約期間は2029年までとなっています。 移籍金は5000万ユーロと報じられ、 バイエルン・ミュンヘンなどの関心を退けての加入となりました。
シーズン中、ドゥエはその卓越したドリブル技術と多才さで注目を集めました。 特にチャンピオンズリーグのリヴァプール戦やアストン・ヴィラ戦では、決定的なプレーでチームの勝利に貢献しました。
その活躍が評価され、ドゥエは2024/25シーズンのリーグ・アン最優秀若手選手賞を受賞しました。
また、フランス代表としても活躍し、2025年3月のネーションズリーグ・クロアチア戦でA代表デビューを果たしました。 試合では途中出場し、PK戦で成功を収め、チームの勝利に貢献しました。
このように、デジレ・ドゥエは2024/25シーズンにおいて、PSGの攻撃の中心として活躍し、今後のさらなる飛躍が期待される若手選手となりました。
6位 ウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマンFC)
7500万€(127億5,000万円)
ウスマン・デンベレは、2024/25シーズンのパリ・サンジェルマンFC(PSG)において、公式戦49試合に出場し、33ゴール12アシストを記録しました。 特にUEFAチャンピオンズリーグでは15試合に出場し8ゴール6アシストを挙げ、チームの初優勝に大きく貢献しました。 決勝のインテル・ミラノ戦では2アシストを記録し、5-0の勝利に貢献しました。
デンベレはこのシーズン、リーグ・アンでも21ゴール6アシストを記録し、リーグ得点王に輝きました。 また、リーグ・アン年間最優秀選手賞を受賞し、UEFAチャンピオンズリーグの年間最優秀選手にも選出されました。
このように、デンベレは2024/25シーズンにおいて、PSGの国内外での成功に中心的な役割を果たし、その活躍は高く評価されました。 彼のプレーは、攻撃面だけでなく守備面でもチームに貢献し、チーム全体のパフォーマンス向上に寄与しました。
5位 ミカエル・オリーズ(バイエルン・ミュンヘン)
8000万€(136億円)
ミカエル・オリーズは、2024/25シーズンにバイエルン・ミュンヘンへ移籍し、公式戦50試合で17ゴール18アシストを記録するなど、チームの攻撃陣において中心的な役割を果たしました。 ブンデスリーガでは34試合に出場し、12ゴール15アシストを挙げ、リーグ最多アシストを記録しました。
シーズン序盤、オリーズはホルシュタイン・キール戦で初ゴールを決め、ディナモ・ザグレブとのチャンピオンズリーグ初戦では2得点を挙げるなど、早期にチームに適応しました。 また、ブレーメン戦では2ゴール2アシストの活躍を見せました。
オリーズは、ビッグチャンス創出数(32回)やスルーパス成功数でもリーグトップを記録し、 バイエルンの攻撃に多大な貢献をしました。
このような活躍により、オリーズはブンデスリーガの年間最優秀新人賞を受賞し、 リーグのベストイレブンにも選出されました。
また、フランス代表としても活躍し、2025年3月のネーションズリーグ・クロアチア戦でA代表初ゴールを記録しました。
このように、ミカエル・オリーズは2024/25シーズンにおいて、バイエルン・ミュンヘンの攻撃の中心として活躍し、個人としても多くの栄誉を手にしました。 今後のさらなる飛躍が期待されます。
3位 ロドリゴ(レアル・マドリード)
1億€(170億円)
ロドリゴ・ゴエスは、2024/25シーズンのレアル・マドリードにおいて、公式戦50試合に出場し、13ゴール9アシストを記録しました。 ラ・リーガでは30試合に出場し6ゴール5アシストを挙げ、チャンピオンズリーグでは12試合で5ゴール2アシストを記録しました。
シーズン序盤、ロドリゴは好調を維持し、特に2025年1月のチャンピオンズリーグ・ブレスト戦では2ゴールを挙げるなど、攻撃の中心として活躍しました。 しかし、2月以降は得点が減少し、アトレティコ・マドリード戦でのゴールを最後に、12試合連続で無得点となりました。 この間、体調不良やコンディションの低下により、出場機会も減少しました。
シーズン終了後、カルロ・アンチェロッティ監督が退任し、新たにシャビ・アロンソ監督が就任しました。 アロンソ監督はロドリゴを「素晴らしい選手」と評価し、チームに必要な存在であると述べていますが、 新たな戦術システムではロドリゴのポジションが保証されておらず、今後の起用法が注目されています。
また、ロドリゴにはプレミアリーグのアーセナルやチェルシーからの関心が報じられており、移籍市場での動向も注目されています。 アーセナルは非公式ながら接触を試みており、チェルシーも攻撃陣の強化を図る中でロドリゴをリストアップしているとされています。
ロドリゴは現在24歳で、レアル・マドリードとの契約は2028年まで残っています。 今後の去就については、シャビ・アロンソ監督との話し合いやクラブの方針次第で決まると見られています。 彼の今後の動向に注目が集まります。
3位 フィル・フォーデン(マンチェスター・シティFC)
1億€(170億円)
フィル・フォーデンは、2024/25シーズンのマンチェスター・シティにおいて、公式戦45試合に出場し、10ゴール5アシストを記録しました。 プレミアリーグでは28試合に出場し、7ゴール2アシストを挙げました 。チャンピオンズリーグでは9試合で3ゴール1アシストを記録し、 FAカップでは6試合に出場しました 。しかし、シーズンを通じて、フォーデンは前シーズンの27ゴールという成績には及ばず、特に2025年1月以降は得点が減少しました 。
フォーデンは、2025年4月のマンチェスター・ユナイテッド戦で足首の靭帯を負傷し、その後の試合でのパフォーマンスに影響を及ぼしました 。また、シーズン中には精神的な困難も抱えていたことを明かし、クラブとイングランド代表との間で夏のスケジュールについて話し合いを行っていると報じられました 。ペップ・グアルディオラ監督は、フォーデンの回復を最優先事項とし、彼の復調をサポートする意向を示しています 。
このように、フォーデンにとって2024/25シーズンは試練の年となりましたが、彼の才能と過去の実績を考慮すると、完全な回復とともに再びトップフォームを取り戻すことが期待されます。
2位 ブカヨ・サカ(アーセナルFC)
1億5000万€(255億円)
ブカヨ・サカは、2024/25シーズンのアーセナルFCにおいて、公式戦37試合に出場し12ゴール13アシストを記録しました。 プレミアリーグでは25試合に出場し6ゴール10アシストを挙げ、チャンピオンズリーグでは9試合で6ゴール2アシストを記録しました。
シーズン中盤、サカはハムストリングの負傷により約3か月間離脱しましたが、4月のフラム戦で復帰し、途中出場から7分でゴールを決めるなど、即座に存在感を示しました。
サカの復帰はチームに大きな影響を与え、特にチャンピオンズリーグ準々決勝のレアル・マドリード戦では、彼のプレーが得点機会を生み出し、3-0の勝利に貢献しました。
シーズンを通じて、サカはアーセナルの攻撃の中心として活躍し、プレミアリーグではチーム最多の10アシストを記録しました。
このように、ブカヨ・サカは2024/25シーズンにおいて、アーセナルの攻撃の要として活躍し、チームの成功に大きく貢献しました。
1位 ラミン・ヤマル(FCバルセロナ)
1億8000万€(306億円)
ラミン・ヤマルは、2024/25シーズンのFCバルセロナにおいて、公式戦55試合に出場し、18ゴール21アシストを記録するなど、チームの攻撃陣において中心的な役割を果たしました。 特にラ・リーガでは35試合に出場し、9ゴール15アシストを挙げ、リーグ最多アシストを記録しました。
このシーズン、バルセロナはラ・リーガ、コパ・デル・レイ、スペイン・スーパーカップの国内三冠を達成し、ヤマルの活躍が大きく貢献しました。 また、チャンピオンズリーグでは準決勝進出を果たし、ヤマルは大会のベストイレブンにも選出されました。
ヤマルは個人としても多くの栄誉を手にしました。 Transfermarktのラ・リーガ年間最優秀選手賞を17歳で受賞し、史上最年少での受賞者となりました。 また、IFFHSからは世界最優秀若手選手賞やUEFA年間ベストイレブンにも選出され、 さらにローレウス世界スポーツ賞のブレイクスルー・オブ・ザ・イヤーも受賞しました。
その活躍により、ヤマルは2025年のバロンドール候補としても注目されています。 また、彼の人気は商業面でも顕著で、現在ではムバッペを上回るユニフォーム売上を記録しています。
2025年5月、ヤマルはバルセロナとの契約を2031年まで延長しました。 この契約により、彼はクラブ内で最も高額な給与を受け取る選手の一人となり、 年俸は最大で2300万ドルに達する可能性があります。
監督のハンジ・フリックはヤマルを「天才」と評しつつ、今後15年間トップレベルで活躍し続けるためには、継続的な努力と精神的な強さが必要であると強調しています。
このように、ラミン・ヤマルは2024/25シーズンにおいて、FCバルセロナの攻撃の中心として活躍し、個人としても多くの栄誉を手にしました。 今後のさらなる飛躍が期待されます。
まとめ
2024/2025シーズン終了時点の右ウイング市場価値ランキングは、まさに新旧スターの競演と世代交代の始まりを象徴するような顔ぶれとなりました。得点力やアシスト能力に加え、戦術理解力・ビルドアップ参加・守備貢献など、現代サッカーの右ウイングに求められる多彩なスキルを備えた選手たちが高く評価されています。
1位に輝いたのは、わずか17歳で世界トップ評価に到達したラミン・ヤマル(FCバルセロナ)。市場価値は1億8000万ユーロ(約306億円)に到達し、まさに世界サッカーの未来を担う存在となっています。天才的なドリブルと局面を打開する創造性はもちろん、若年ながら冷静に試合を読むプレーも評価され、バルセロナだけでなく世界中の注目を集める選手へと急成長を遂げました。
2位は、アーセナルのエースブカヨ・サカ。1億5000万ユーロ(約255億円)という高額評価は、今シーズンも続いた安定したパフォーマンスを象徴しています。サイドでのスピードと切り返しに加え、アシスト力・得点力・守備への献身性まで非常に高い総合力を備え、アーセナルの攻撃の軸として欠かせない存在となっています。
3位にはロドリゴ(レアル・マドリード)とフィル・フォーデン(マンチェスター・シティFC)がともに1億ユーロ(約170億円)で並びました。ロドリゴはビッグマッチでの勝負強さとゴール前での冷静さが光り、マドリーの攻撃を支え続けています。一方のフォーデンは、今シーズンは右ウイングでも多く起用され、多彩なポジショニングと高い戦術理解力を発揮。プレミアリーグでも屈指のオールラウンダーへと成長しました。
5位は、ミカエル・オリーズ(バイエルン・ミュンヘン)で8000万ユーロ(約136億円)。今シーズン新天地バイエルンでも適応力の高さを発揮し、サイドからの仕掛けやラストパスのセンスで評価を急上昇させています。これからトップクラスに食い込んでいくポテンシャルを十分に秘めた存在です。
今回のランキングを通して見えてくるのは、右ウイングというポジションにおける「若さと柔軟性」の重要性です。上位選手の多くが20代前半と非常に若く、将来性を含めた評価が市場価値に色濃く反映されています。また、得点・アシストにとどまらず、チーム戦術への適応力、ポジションの流動性、守備貢献も市場価値を押し上げる重要な要素となっています。
来シーズン以降、ラミン・ヤマルを筆頭に「次世代スター争い」がますます加熱していくことは間違いありません。さらにどの若手が頭角を現し、どの既存スターが新たな高みに達するのか。右ウイングを巡るトップ争いは今後も非常に注目度の高いポジションであり続けそうです。
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