サッカーにおける右ウイングは、試合の流れを一瞬で変えることができるポジションです。サイドを切り裂くドリブル突破や正確なクロス、さらには中央へのカットインから放たれる強烈なシュートなど、多彩な攻撃パターンを生み出す存在として、常にピッチ上で注目を集めます。特に現代サッカーでは、右ウイングがチーム全体の攻撃テンポを調整し、ゲームメイクに関与するケースも増えており、その役割は従来以上に重要となっています。
また、近年のトレンドとして「インバーテッドウィンガー(逆足ウィンガー)」が右ウイングで重宝されていることも見逃せません。左利きの選手が右サイドに配置され、中央に切れ込むことでシュートやスルーパスを狙うプレースタイルは、多くのビッグクラブで戦術の中心となっています。こうした戦術的な柔軟性と個人技を兼ね備えた選手は、市場価値の面でも高く評価され、移籍市場で多額の移籍金が動く要因となっています。
今回は、Transfermarktの最新データをもとに、世界で最も市場価値が高い右ウイングのランキングを紹介します。ランキング上位に名を連ねる選手たちは、その得点力やアシスト能力だけでなく、試合を支配する戦術眼やフィジカルの強さ、さらには商業的な影響力まで含めて評価されています。彼らがなぜこれほどの市場価値を誇るのか、その理由をパフォーマンスやプレースタイルを通して深掘りしていきます。現代サッカーの攻撃を牽引するトップクラスの右ウイングたちの実力と魅力を、一緒に探っていきましょう。
市場価値ランキング – 右ウイング編
10位 クリスチャン・プリシッチ(ACミラン)
5000万€(85億円)
クリスチャン・プリシッチは1998年9月18日生まれのアメリカ出身フォワードで、現在はセリエAのACミランに所属し、アメリカ代表としても活躍しています。ドイツのボルシア・ドルトムントでプロキャリアをスタートさせ、81試合で10ゴールを記録。その後、2019年にイングランドのチェルシーFCへ移籍し、98試合で20ゴールを挙げ、UEFAチャンピオンズリーグ優勝に貢献しました。2023年7月にはACミランへ移籍し、背番号11を着用。2024/2025シーズンではセリエAで21試合に出場し、6ゴール6アシストを記録しています。178cmの身長と卓越したスピード、ドリブル能力を武器に右ウィングから鋭い突破を見せ、チームの攻撃を牽引。アメリカ代表でも中心選手として活躍しており、今後もクラブと代表の両方でさらなる飛躍が期待されています。
10位 ブライアン・ムベウモ(ブレントフォード)
5000万€(85億円)
ブライアン・ムベウモは1999年8月7日生まれのフランス出身フォワードで、現在はイングランド・プレミアリーグのブレントフォードFCに所属し、カメルーン代表としても活躍しています。14歳でトロワACのアカデミーに入団し、2018年にトップチームデビュー。2019年にはブレントフォードと5年契約を締結し、移籍金は580万ポンドと報じられました。2024/2025シーズンにはプレミアリーグで25試合に出場し、15ゴール4アシストを記録。90分あたりのゴール数は0.56と高水準を誇ります。身長171cmと小柄ながらも卓越したスピードとテクニックを武器に、ウイングとしての突破力や左足から繰り出される正確なシュートでチームの攻撃を牽引しています。2022年にカメルーン代表としてFIFAワールドカップに出場し、国際舞台でもその実力を証明。今後もさらなる活躍が期待される注目の選手です。
10位 ブレナン・ジョンソン(トッテナム)
5000万€(85億円)
ブレナン・ジョンソンは2001年5月23日生まれのウェールズ出身フォワードで、現在はプレミアリーグのトッテナム・ホットスパーに所属し、ウェールズ代表としても活躍しています。8歳でノッティンガム・フォレストの下部組織に入団し、2019年にトップチームデビュー。2020-2021シーズンにはリンカーン・シティへのレンタル移籍で10ゴールを記録し、翌シーズンにはフォレストで16ゴールを挙げ、チームのプレミアリーグ昇格に貢献しました。2023年9月にはトッテナムと2029年までの6年契約を締結し、背番号22を着用。2024/2025シーズンではプレミアリーグ23試合に出場し、9ゴール2アシストを記録しています。179cmの身長とスピード、テクニックを兼ね備えたプレースタイルが特徴で、複数の攻撃的ポジションをこなす柔軟性も強みです。今後もトッテナムとウェールズ代表でのさらなる飛躍が期待されます。
10位 モハメド・クドゥス(ウェストハム)
5000万€(85億円)
モハメド・クドゥスは2000年8月2日生まれのガーナ出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのウェストハム・ユナイテッドFCに所属し、ガーナ代表としても活躍しています。ライト・トゥ・ドリーム・アカデミーで育成され、デンマークのFCノアシェランでプロデビュー。2020年にはオランダのアヤックスと契約し、エールディヴィジでの活躍が評価されました。2023年にウェストハムに移籍後、2024/2025シーズンはプレミアリーグ20試合で3ゴールを記録。攻撃的ミッドフィールダーとして優れたドリブル、パスセンス、決定力を持ち、身長177cmとバランスの取れたフィジカルを活かしたプレーが特徴です。ガーナ代表としても30試合で9得点を挙げ、2022年ワールドカップでは韓国戦で2ゴールを決めるなど存在感を発揮。今後もクラブと代表でのさらなる飛躍が期待されています。
10位 エステバン(パルメイラス)
5000万€(85億円)
エステヴァン・ウィリアンは2007年4月24日生まれのブラジル出身サッカー選手で、現在はブラジルのパルメイラスに所属しています。左利きの右ウインガーとしてプレーし、その卓越したドリブル技術とスピードから「メッシーニョ」の愛称で親しまれています。クルゼイロの下部組織からパルメイラスへ14歳で移籍し、2022年シーズンにはU-17チームで34試合23得点、U-15チームでも4試合8得点を記録。カンピオナート・パウリスタU-17、コパ・ド・ブラジルU-17、カンピオナート・ブラジレイロU-17の3冠達成に貢献しました。ブラジル代表にも選出され、国際大会での活躍も期待されています。2024年にはチェルシーに内定したことが発表されました。合流は2025年7月になるようです。
6位 モハメド・サラー(リヴァプール)
5500万€(93億5,000万円)
モハメド・サラーは1992年6月15日生まれのエジプト出身フォワードで、現在はプレミアリーグのリヴァプールFCに所属し、エジプト代表としても活躍しています。プロキャリアはエジプトのアラブ・コントラクターズSCでスタートし、その後スイスのFCバーゼル、イングランドのチェルシーFC、イタリアのフィオレンティーナやASローマを経て、2017年にリヴァプールに加入しました。リヴァプールではプレミアリーグやUEFAチャンピオンズリーグの優勝に貢献し、数々の個人タイトルも獲得。2024/2025シーズンはプレミアリーグで27試合に出場し、25ゴール16アシストと驚異的な成績を収めています。卓越したスピードとドリブル技術、左足からの正確なシュートが特徴で、ゴール前での冷静さも兼ね備えています。エジプト代表としても国際大会で活躍し、今後も世界屈指のフォワードとしてさらなる活躍が期待されます。
6位 ウスマン・デンベレ(パリ・サンジェルマン)
5500万€(93億5,000万円)
ウスマン・デンベレは1997年5月15日生まれのフランス出身フォワードで、現在はリーグ・アンのパリ・サンジェルマンFC(PSG)に所属しています。キャリアはフランスのスタッド・レンヌでスタートし、その後ドイツのボルシア・ドルトムント、スペインのFCバルセロナを経て、2023年8月にPSGへ移籍しました。2024/2025シーズンは公式戦27試合で21ゴールを記録し、前シーズンの成績を大きく上回る飛躍的な活躍を見せています。両足を自在に使いこなすドリブル技術とスピード、相手ディフェンスを翻弄するボールコントロールが特徴で、右ウイングを中心に中央フォワードとしてもプレー。フランス代表としても主要国際大会で活躍し、今後もクラブと代表の両方でさらなる成功が期待される選手です。
6位 ペドロ・ネト(チェルシー)
5500万€(93億5,000万円)
ペドロ・ネトは2000年3月9日生まれのポルトガル出身フォワードで、現在はプレミアリーグのチェルシーFCに所属しています。キャリアはブラガの下部組織でスタートし、2017年にトップチームデビュー。その後、ラツィオへのレンタル移籍を経て、2019年にウルヴァーハンプトン・ワンダラーズへ完全移籍しました。ウルヴスでは度重なる負傷に悩まされながらも、鋭い突破力とチャンスメイク能力でチームに貢献。2024年8月には移籍金5130万ポンドでチェルシーと7年契約を締結しました。チェルシー加入後はリーグでは23試合で2ゴール3アシストを記録し、新天地での活躍が期待されています。身長172cmと小柄ながらも、左足を駆使したスピードとドリブル突破、視野の広さと正確なパスで攻撃を牽引。ポルトガル代表としても国際舞台で活躍しており、今後のさらなる成長が期待されます。
6位 サヴィーニョ(マンチェスター・シティ)
5500万€(93億5,000万円)
サヴィオ・モレイラ・デ・オリヴェイラ(通称:サヴィーニョ)は、2004年4月10日生まれのブラジル出身フォワードで、現在はプレミアリーグのマンチェスター・シティFCに所属しています。キャリアはブラジルのアトレチコ・ミネイロでスタートし、2020年にトップチーム昇格。2022年にはフランスのトロワACへ移籍し、その後オランダのPSVやスペインのジローナFCへのレンタルを経て経験を積みました。特にジローナでは2023-24シーズンに公式戦41試合で11ゴール10アシストを記録し、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ出場権獲得に貢献。2024年7月にはマンチェスター・シティと5年契約を締結し、プレミアリーグ2024/2025シーズンでは21試合で1ゴール7アシストを記録しています。サヴィーニョは176cmの身長を活かした柔らかなボールタッチと巧みなドリブルを特徴とし、リヤド・マフレズを彷彿とさせるプレースタイルが魅力です。ブラジル代表としても2024年のコパ・アメリカでゴールを記録し、今後のさらなる活躍が期待されています。
5位 ミカエル・オリーズ(バイエルン)
6500万€(110億5,000万円)
ミカエル・アクポヴィエ・オリーズは2001年12月12日生まれのフランス出身ミッドフィールダーで、現在はブンデスリーガのFCバイエルン・ミュンヘンに所属しています。アーセナル、チェルシー、マンチェスター・シティ、レディングのアカデミーで育成を受け、2019年にレディングでプロデビュー。その後、2021年にクリスタル・パレスへ移籍し、プレミアリーグ初ゴールや1試合3アシストの最年少記録を達成しました。2024年にはバイエルン・ミュンヘンへの完全移籍が発表され、移籍金は6000万ユーロ。デビュー戦となったDFBポカールでは交代出場からわずか2分でアシストを記録し、鮮烈な印象を残しました。オリーズは卓越したテクニックと視野の広さを武器に、攻撃的ミッドフィールダーとしてドリブルや正確なパスで攻撃を牽引。フランス代表としてもパリオリンピックで銀メダルを獲得しており、今後のさらなる活躍が期待されています。
4位 ロドリゴ(レアル・マドリード)
1億€(170億円)
ロドリゴ・シウバ・デ・ゴエスは2001年1月9日生まれのブラジル出身フォワードで、現在はスペインのレアル・マドリードに所属しています。2011年にサントスFCのユースチームに加入し、2017年にトップチームへ昇格。2018年にはコパ・リベルタドーレスで17歳2ヶ月の最年少得点記録を達成しました。2019年7月にレアル・マドリードへ移籍し、デビュー戦となったオサスナ戦ではわずか93秒で初ゴールを決め、鮮烈な印象を残しました。2024/2025シーズンにはラ・リーガで21試合に出場し、6ゴールを記録。スピードとテクニックを兼ね備えたウィンガーとして、主に右サイドでプレーする一方、左サイドや中央でも柔軟に対応できるのが強みです。ブラジル代表としても2019年にA代表デビューを果たし、以降も国際大会でチームに貢献。ロドリゴは若くしてレアル・マドリードとブラジル代表の両方で欠かせない存在となっており、その成長と今後の活躍が大いに期待されています。
3位 フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)
1億4000万€(238億円)
フィル・フォーデンは2000年5月28日生まれのイングランド出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのマンチェスター・シティに所属しています。6歳の頃にシティのアカデミーに入団し、2017年7月にインターナショナル・チャンピオンズ・カップのマンチェスター・ユナイテッド戦でトップチームデビュー。ジョゼップ・グアルディオラ監督から高い評価を受け、同年11月にはUEFAチャンピオンズリーグでもデビューしました。2024/2025シーズンにはプレミアリーグ20試合に出場し、7ゴール2アシストを記録。特に2025年1月15日のブレントフォード戦では2得点を挙げる活躍を見せました。左足を駆使した卓越したテクニックと視野の広さを武器に、攻撃的ミッドフィールダーとしてチームを牽引しています。イングランド代表としても2020年にA代表デビューを果たし、主要国際大会で活躍。今後もマンチェスター・シティとイングランド代表の両方で中心的な役割を果たすことが期待されます。
2位 ブカヨ・サカ(アーセナル)
1億5000万€(255億円)
ブカヨ・サカは2001年9月5日生まれのイングランド出身フォワードで、現在はプレミアリーグのアーセナルFCに所属しています。アーセナルのアカデミーで育成され、2018年11月にプロデビューを果たしました。2019-2020シーズンにはFAカップ優勝に貢献し、2020-2021シーズンからは右ウィングのレギュラーとして定着。2021-2022シーズンはリーグ戦全38試合に出場し、11ゴール7アシストを記録し、クラブの年間最優秀選手にも選ばれました。2024-2025シーズンではプレミアリーグ16試合で5ゴール10アシストを記録し、チームの攻撃を牽引しています。左足を巧みに使い、卓越したドリブルとスピードを武器に相手ディフェンスを突破。正確なクロスやシュートで多くのチャンスを創出します。イングランド代表としても2020年にA代表デビューを果たし、欧州選手権やワールドカップで重要な役割を果たしています。今後もアーセナルとイングランド代表の両方でさらなる成長と活躍が期待される選手です。
1位 ラミン・ヤマル(バルセロナ)
1億8000万€(306億円)
ラミン・ヤマルは2007年7月13日生まれのスペイン出身フォワードで、現在はFCバルセロナに所属しています。7歳でバルセロナの下部組織「ラ・マシア」に入団し、その才能を早くから発揮しました。2023年4月、わずか15歳9ヶ月16日でレアル・ベティス戦に出場し、クラブ史上最年少でトップチームデビューを果たしました。2023/24シーズンにはトップチームで50試合に出場し、7得点を記録。2024/2025シーズンではラ・リーガ21試合で5ゴール10アシストを挙げ、特にアラベス戦では21回のドリブル中11回成功させ、リオネル・メッシの記録を上回る活躍を見せました。左足を駆使した卓越したドリブルとスピード、正確なクロスとシュートを武器に攻撃を牽引し、ウィングやセンターフォワードなど複数のポジションでプレー可能です。スペイン代表としても2023年9月にA代表デビューを果たし、ユーロ2024では大会優勝に大きく貢献し、最優秀若手選手賞を受賞しました。若くしてクラブと代表の両方で欠かせない存在となったヤマルの今後の成長と活躍が期待されています。
まとめ
今回の右ウイング市場価値ランキングは、現代サッカーにおけるこのポジションの進化と多様性を如実に示す結果となりました。1位に輝いたのは、わずか16歳でバルセロナのトップチームに定着したラミン・ヤマル。その市場価値は驚異の1億8000万ユーロ(約306億円)に達し、若さと才能の両面でサッカー界の未来を担う存在として世界中の注目を集めています。ドリブルの切れ味や試合を決定づける創造性は、これからのキャリアでさらなる市場価値の上昇を予感させます。
2位のブカヨ・サカ(1億5000万ユーロ/約255億円)は、アーセナルでの安定したパフォーマンスを背景に評価を高めています。攻撃力だけでなく守備面での献身性も高く評価され、プレミアリーグ屈指のオールラウンダーとして確固たる地位を築いています。3位のフィル・フォーデン(1億4000万ユーロ/約238億円)も、マンチェスター・シティで多才なプレースタイルを披露し、攻撃の多様性をもたらす選手としてチームに不可欠な存在です。
4位のロドリゴ(1億ユーロ/約170億円)は、レアル・マドリードで重要な試合での決定的なゴールやアシストで存在感を示しており、ビッグマッチでの強さが市場価値に大きく反映されています。5位のミカエル・オリーズ(6500万ユーロ/約110億5,000万円)も、バイエルンでの新たな挑戦が期待される逸材であり、テクニックと視野の広さを活かしたプレーで今後さらなる評価の上昇が見込まれます。
このランキングからは、現代の右ウイングに求められるスキルセットの広さが浮き彫りになっています。単なるスピードやドリブル突破だけではなく、試合を支配する戦術眼、守備への貢献度、そしてビッグマッチでの勝負強さも市場価値を決定する重要な要素となっています。また、ラミン・ヤマルのような若手選手が高額な市場価値を誇ることは、現代サッカーにおける将来性や育成の重要性を改めて示しています。
今後のシーズンや移籍市場では、これらの選手たちがどのようなパフォーマンスを見せ、市場価値にどのような変動が起こるのかが大きな注目ポイントです。次世代のスーパースターが台頭するのか、それとも現状のトップ選手たちがその座を守り続けるのか。右ウイングというポジションの最前線を走るスター選手たちの未来から、目が離せません。



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