現代サッカーにおいて、左ウイングは攻撃の中核を担う極めて重要なポジションです。単なるサイドアタッカーとしての役割を超え、中央へのカットインから強烈なシュートを放つ選手や、ピッチ全体を駆け回ってゲームメイクに貢献する選手など、そのプレースタイルは多様化しています。特に利き足と逆サイドでプレーする「インサイドカッター」の存在感が増しており、創造性と得点力を兼ね備えた選手たちが市場価値を急速に高めています。
近年では、左ウイングに配置される選手がチームの攻撃パターンを決定づけるケースも珍しくありません。ドリブル突破やスピードを武器にディフェンスラインを切り裂く選手、的確なクロスやアシストでチャンスメイクするプレーヤー、さらには守備面でのハードワークも求められるなど、その役割はますます複雑かつ重要になっています。こうした多様なスキルを持つ左ウイングは、世界中のビッグクラブが多額の移籍金を投じてでも獲得を狙う存在となっています。
今回は、Transfermarktの最新データをもとに、世界で最も市場価値が高い左ウイングのランキングを紹介します。ランキング上位に名を連ねる選手たちは、単にピッチ上でのパフォーマンスだけでなく、その将来性やブランド価値においても注目されています。彼らがなぜこれほど高額な評価を受けているのか、その理由をパフォーマンスやプレースタイルとともに深掘りしていきます。今後の移籍市場やシーズンの展望を占ううえでも見逃せない、左ウイングのトッププレーヤーたちの現在地をチェックしていきましょう。
市場価値ランキング – 左ウイング編
8位 コーディ・ガクポ(リヴァプール)
6000万€(102億円)
コーディ・ガクポは1999年5月7日生まれのオランダ出身フォワードで、現在はプレミアリーグのリヴァプールFCに所属し、オランダ代表としても活躍しています。PSVアイントホーフェンでプロデビューを果たし、2022年にはKNVBカップ決勝で決勝ゴールを決めてクラブの優勝に貢献。その後、2023年1月にリヴァプールへ移籍しました。加入後はチームの攻撃陣を支える存在となり、2024年12月時点で99試合に出場し31ゴールを記録。2024/2025シーズンもプレミアリーグで23試合8ゴールを挙げています。身長193cmの恵まれた体格と優れたボールスキルを併せ持ち、ウインガーとして得点とアシストの両面でチームに貢献できる多才な選手です。オランダ代表としても29試合12ゴールと結果を残しており、今後のさらなる成長と活躍が期待されます。
8位 ジェレミー・ドク(マンチェスター・シティ)
6000万€(102億円)
ジェレミー・ドクは2002年5月27日生まれのベルギー出身フォワードで、現在はプレミアリーグのマンチェスター・シティに所属し、ベルギー代表としても活躍しています。RSCアンデルレヒトでプロデビュー後、2020年にスタッド・レンヌへ移籍し、3シーズンで75試合10ゴールを記録。2023年8月にマンチェスター・シティと5年契約を結び加入しました。2023/24シーズンには公式戦43試合に出場し、6ゴール10アシストとチームの攻撃に大きく貢献。身長173cmと小柄ながら、卓越したスピードとドリブル能力で相手ディフェンダーを翻弄し、右ウイングを中心に複数のポジションでプレー可能な柔軟性も魅力です。ベルギー代表としても30試合に出場し、若手ながら重要な役割を担っています。今後もシティと代表の両方でさらなる成長と活躍が期待される逸材です。
8位 アンソニー・ゴードン(ニューカッスル・ユナイテッド)
6000万€(102億円)
アンソニー・ゴードンは2001年2月24日生まれのイングランド出身フォワードで、現在はプレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドに所属し、イングランド代表としても活躍しています。エヴァートンのユースアカデミーで育ち、2017年にトップチームデビュー。その後、プレストン・ノースエンドへのレンタル移籍を経て、2023年1月にニューカッスルへ加入しました。2023/24シーズンではリーグ戦35試合に出場し、11ゴール10アシストを記録。スピードとドリブルを武器に、左ウィングから相手ディフェンスを切り裂き、チームの攻撃を牽引しています。代表では各年代で活躍し、2024年にはフル代表デビューとUEFA EURO 2024への出場も果たしました。市場価値は6000万ユーロと評価されており、今後もクラブと代表の両方でさらなる成長と活躍が期待されています。
7位 ブラッドリー・バルコラ(パリ・サンジェルマン)
6500万€(110億5,000万円)
ブラッドリー・バルコラは2002年9月2日生まれのフランス出身フォワードで、現在はリーグ・アンのパリ・サンジェルマン(PSG)に所属し、フランス代表としても活躍しています。オリンピック・リヨンのアカデミーで育ち、2021年にトップチームデビューを果たし、リヨンでは38試合で5ゴールを記録。2023年8月にPSGへ移籍し、背番号29を着用しています。PSG加入後は2023/24シーズンでリーグ・アン25試合に出場し、4ゴールを記録。182cmの体格を活かしたフィジカルと卓越したスピード、ドリブル技術でチームの攻撃を支えています。主に左ウィングとしてプレーしますが、複数ポジションでの起用も可能な柔軟性が魅力。フランス代表としても順調にキャリアを積んでおり、市場価値は6500万ユーロと評価されています。今後、PSGとフランス代表の両方でさらなる飛躍が期待される若手有望株です
6位 ニコ・ウィリアムズ(アスレティック・ビルバオ)
7000万€(119億円)
ニコ・ウィリアムズは2002年7月12日生まれのスペイン出身フォワードで、現在はアスレティック・ビルバオに所属し、スペイン代表としても活躍しています。2013年にCAオサスナのユースからアスレティック・ビルバオのアカデミーに加入し、2021年にトップチームデビューを果たしました。兄のイニャキ・ウィリアムズと同時出場を果たしたことで話題となり、以降チームの主力として定着。2022-23シーズンにはリーグ戦36試合で6ゴールを記録し、卓越したスピードとドリブル能力で右ウィングから攻撃を牽引しています。スペイン代表では2022年にフル代表デビューし、13試合で2得点を挙げるなど順調にキャリアを積んでいます。市場価値の高さと将来性から、今後クラブと代表の両方でさらなる飛躍が期待される選手です。
5位 ラファエル・レオン(ACミラン)
7500万€(127億5,000万円)
ラファエル・レオンは1999年6月10日生まれのポルトガル出身フォワードで、現在はセリエAのACミランに所属し、ポルトガル代表としても活躍しています。スポルティングCPでプロデビュー後、リールを経て2019年にACミランへ移籍。ミラン加入後は卓越したスピードとドリブル技術を武器に攻撃を牽引し、2020-21シーズンにはセリエA史上最速となる開始6.2秒でのゴールを達成。2021-22シーズンではリーグ戦11ゴール10アシストを記録し、クラブの11年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献。同シーズンのセリエA最優秀選手賞も受賞しました。188cmの体格を活かしたフィジカルと高い決定力、アシスト能力も魅力で、2023年には契約を2028年まで延長。ポルトガル代表としても2022年カタールW杯でゴールを決めるなど存在感を発揮し、今後のさらなる飛躍が期待されます。
4位 ラフィーニャ(FCバルセロナ)
8000万€(136億円)
ラフィーニャ(本名:ハファエウ・ジアス・ベローリ)は1996年12月14日生まれのブラジル出身フォワードで、現在はスペインのFCバルセロナに所属し、ブラジル代表としても活躍しています。アヴァイFCのユースからキャリアをスタートさせ、ヴィトーリア・ギマランイス、スポルティングCP、スタッド・レンヌを経て、2020年にリーズ・ユナイテッドへ移籍。リーズでは2シーズンで17ゴール10アシストを記録し、チームのプレミアリーグ残留に大きく貢献しました。2022年7月にバルセロナへ加入後、2024/25シーズンはラ・リーガで23試合13ゴール6アシストと圧倒的な攻撃力を発揮。左足を利き足とし、卓越したドリブル、クロス、フリーキック精度を武器にチームを牽引しています。ブラジル代表としても継続的に活躍しており、今後のさらなる成長と活躍が期待されています。
3位 ルイス・ディアス(リヴァプール)
8500万€(144億5,000万円)
ルイス・ディアスは1997年1月13日生まれのコロンビア出身フォワードで、現在はプレミアリーグのリヴァプールFCに所属し、コロンビア代表としても活躍しています。プロキャリアをバランキージャFCでスタートさせた後、アトレティコ・ジュニオールを経て2019年にFCポルトへ移籍。ポルトではプリメイラ・リーガで2度の優勝を経験しました。2022年1月にリヴァプールと契約後は、そのスピードとテクニックで攻撃の要として活躍。2024/2025シーズンにはプレミアリーグで25試合に出場し、9ゴール2アシストを記録しています。身長180cmとフィジカルにも恵まれ、ドリブル突破や決定力に優れたプレースタイルが特徴です。コロンビア代表としても2021年のコパ・アメリカで3位、2024年大会では準優勝に貢献し、今後もさらなる飛躍が期待されます。
2位 クヴィチャ・クワラツヘリア(パリ・サンジェルマン)
8500万€(144億5,000万円)
クヴィチャ・クワラツヘリアは1997年1月13日生まれのジョージア出身フォワードで、現在はリーグ・アンのパリ・サンジェルマン(PSG)に所属し、ジョージア代表としても活躍しています。ディナモ・トビリシでプロキャリアを開始後、ロコモティフ・モスクワやルビン・カザンを経て、2022年にナポリへ移籍。ナポリでは公式戦107試合で30ゴール29アシストを記録し、特に2022-23シーズンには12ゴール13アシストでクラブの33年ぶりとなるセリエA優勝に大きく貢献しました。2025年1月に約7000万ユーロの移籍金でPSGに加入し、背番号7を背負っています。180cmの体格と卓越したドリブル、スピード、正確なシュートで知られ、視野の広さと創造性を活かしたアシスト能力も魅力です。ジョージア代表でも中心選手として活躍しており、今後もPSGと代表の両方でさらなる飛躍が期待されます。
1位 ヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)
2億€(340億円)
ヴィニシウス・ジュニオールは2000年7月12日生まれのブラジル出身フォワードで、現在はスペインのレアル・マドリードに所属し、ブラジル代表としても活躍しています。フラメンゴでプロデビュー後、2018年にレアル・マドリードへ移籍。2025年1月にはクラブ通算100ゴールを達成し、ブラジル人選手としてロナウドに次ぐ歴代2人目の快挙を成し遂げました。2024/2025シーズンはラ・リーガで18試合に出場し、8ゴール5アシストを記録。90分あたりのゴール関与率は0.81と高水準を誇ります。176cmの体格を活かしたスピードとドリブル能力が特徴で、左ウィングからの鋭い突破や高い決定力、アシスト能力でもチームを牽引。ブラジル代表としても国際大会で重要な役割を果たしており、今後もクラブと代表の両方でさらなる活躍が期待されています。
まとめ
今回の左ウイング市場価値ランキングでは、現代サッカーにおけるこのポジションの多様性と重要性が鮮明に浮かび上がりました。1位に輝いたヴィニシウス・ジュニオールは、2億ユーロ(約340億円)という驚異的な市場価値を誇ります。レアル・マドリードでの圧倒的なスピードとテクニックを武器に、決定的な場面で試合を決める能力を発揮しており、その若さと将来性からもサッカー界屈指のスター選手として位置付けられています。
2位と3位には、クヴィチャ・クワラツヘリア(8500万ユーロ/約144億5,000万円)とルイス・ディアス(8500万ユーロ/約144億5,000万円)がランクイン。クワラツヘリアはパリ・サンジェルマンでの活躍が期待される新星で、そのドリブル突破力とゲームを決定づけるプレーが評価されています。一方、リヴァプールのディアスは、プレミアリーグのハイペースな試合展開に適応し、攻守両面での貢献度が市場価値の高さに反映されています。
4位のラフィーニャ(8000万ユーロ/約136億円)は、FCバルセロナでの鋭いカットインや精度の高いシュートでチームの攻撃を牽引。5位のラファエル・レオン(7500万ユーロ/約127億5,000万円)も、ACミランの攻撃陣においてスピードとパワーを兼ね備えた重要なピースとして存在感を放っています。
これらの選手たちを見てわかるのは、現代の左ウイングに求められるスキルセットの幅広さです。単なるサイド突破だけではなく、中央へのカットインからの得点力、チャンスメイク、さらには守備時のハードワークも重要な評価ポイントとなっています。また、若さや将来性、ビッグマッチでのパフォーマンス、さらには商業的な影響力も市場価値に大きな影響を与えています。
今後のシーズンや移籍市場で、これらのスター選手たちがどのような活躍を見せ、市場価値にどのような変動が起こるのかは大きな注目ポイントです。新たな才能が台頭し、ランキングに変動をもたらすのか、それとも現状のスター選手たちがその座を守り続けるのか。左ウイングというポジションの進化とともに、サッカー界の最前線を走る彼らの動向から今後も目が離せません。



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