攻撃的ミッドフィルダー(AMF)は、現代サッカーにおいてチームの攻撃をデザインする「頭脳」とも言えるポジションです。ピッチ中央でボールを受け、攻撃の起点となるパスを供給したり、自らゴールを狙ったりと、その役割は多岐にわたります。決定的なラストパスを繰り出す創造性、プレッシャーの中でも冷静にプレーできる判断力、そして試合を一瞬で変える得点力を兼ね備えた選手こそが、このポジションで高く評価されます。近年のサッカーでは、伝統的な「10番」の役割を担う選手が減少した一方で、攻撃的ミッドフィルダーにはより多様な能力が求められるようになっています。チャンスメイクだけでなく、ハードワークを厭わない守備力や、サイドでのプレーにも対応できる柔軟性が市場価値を大きく左右する要素となっています。また、ビルドアップへの関与やスペースを見つけ出すポジショニングの巧みさも、このポジションで成功するためには不可欠です。今回は、Transfermarktの最新データをもとに、世界で最も市場価値が高い攻撃的ミッドフィルダーのランキングを紹介します。ここに登場する選手たちは、単なるパサーや得点者ではなく、チームの攻撃をけん引する存在として、その創造性と戦術的理解力が市場価値に反映されています。彼らがなぜこれほどの評価を受けているのか、そのプレースタイルやチームでの役割を掘り下げながら、現代サッカーにおける攻撃的ミッドフィルダーの真価を探っていきます。
市場価値ランキング – 攻撃的ミッドフィルダー編
10位 ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティFC)
6000万€(102億円)
ベルナルド・シウバは1994年8月10日生まれのポルトガル出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのマンチェスター・シティFCに所属しています。SLベンフィカのユースアカデミーで育ち、2013年にトップチームに昇格。その後、ASモナコへのローン移籍を経て2015年に完全移籍し、モナコではリーグ・アン優勝に貢献しました。2017年には約4300万ポンドの移籍金でマンチェスター・シティに加入し、以降、チームの中心選手として数々のタイトル獲得に貢献しています。2024/2025シーズンではプレミアリーグ23試合に出場し、2ゴール4アシストを記録。90分あたり平均0.19アシストをマークし、チームの攻撃を支えています。左足の繊細なボールタッチと高い戦術理解力を武器に、攻撃的ミッドフィールダーやセントラルミッドフィールダーとして活躍。ポルトガル代表としても2015年にA代表デビューを果たし、主要大会でチームを牽引しています。今後もクラブと代表の両方で、シウバのさらなる活躍が期待されます。
9位 ダニ・オルモ(バルセロナ)
6000万€(102億円)
ダニ・オルモは1998年5月7日生まれのスペイン出身ミッドフィールダーで、現在はラ・リーガのFCバルセロナに所属しています。エスパニョールとバルセロナの下部組織で育成された後、2014年にクロアチアのディナモ・ザグレブに移籍し、プロデビューを果たしました。同クラブではクロアチアリーグ優勝5回、カップ戦3回、スーパー杯1回を獲得するなど、多くのタイトルを手にしました。2020年にはドイツのRBライプツィヒに移籍し、DFBポカール2回、ドイツ・スーパーカップ1回を制覇。特にバイエルン・ミュンヘンとのスーパーカップではハットトリックを達成し、チームの勝利に貢献しました。2024年8月にはバルセロナへの復帰を果たし、2030年までの契約を締結。契約解除金は5億ユーロに設定されています。2024/2025シーズンでは公式戦15試合で6ゴール記録しましたが、クラブの財政問題による選手登録の課題も浮上しています。オルモは卓越した技術と視野の広さを武器に、攻撃的ミッドフィールダーとして柔軟なプレーを展開。スペイン代表としてもUEFA EURO 2024で3ゴールを挙げ、優勝に大きく貢献しました。バルセロナとスペイン代表の中核を担う選手として、今後の活躍が期待されています。
8位 ジェームズ・マディソン(トッテナム・ホットスパーFC)
6000万€(102億円)
ジェームズ・マディソンは1996年11月23日生まれのイングランド出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのトッテナム・ホットスパーFCに所属しています。コヴェントリー・シティのユースアカデミーで育ち、2013年にトップチームデビュー。その後、ノリッジ・シティやスコットランドのアバディーンへのローン移籍を経て、2018年にレスター・シティに加入しました。レスターではプレミアリーグでの地位を確立し、2018/19シーズンの開幕以降、43ゴール32アシストと計75ゴールに関与する活躍を見せました。2023年6月にトッテナム・ホットスパーへ移籍し、背番号10を背負っています。2024/2025シーズンではプレミアリーグ24試合に出場し、9ゴール5アシストを記録。90分あたり0.591ゴールという高い得点率でチームの攻撃を牽引しています。右足の正確なキックや卓越した視野、フリーキックの名手としても知られ、攻撃的ミッドフィールダーとして創造的なプレーを披露。イングランド代表としても2019年にA代表デビューを果たし、主要大会で中盤の要として期待されています。今後もクラブと代表の両方でさらなる活躍が期待される選手です。
7位 デヤン・クルゼフスキ(トッテナム・ホットスパーFC)
6000万€(102億円)
デヤン・クルゼフスキは2000年4月25日生まれのスウェーデン出身ミッドフィールダー兼フォワードで、現在はプレミアリーグのトッテナム・ホットスパーFCに所属しています。6歳の頃からサッカーを始め、2016年にイタリアのアタランタBCの下部組織に入団。2019年にはパルマ・カルチョ1913へのレンタル移籍でセリエAに挑戦し、その活躍が評価されて2020年にユヴェントスFCに加入しました。ユヴェントスでは公式戦55試合で4ゴールを記録。2022年1月にトッテナム・ホットスパーへレンタル移籍し、その後完全移籍を果たしました。2024/2025シーズンでは公式戦39試合で9ゴール9アシストを記録し、チームの攻撃の中心として活躍しています。クルゼフスキは左足の正確なキックや高い戦術理解力を武器に、ウイングや攻撃的ミッドフィールダーとしてチャンスを創出する能力に優れています。スウェーデン代表としても2019年にA代表デビューを果たし、主要大会や予選で中盤や前線の要として活躍。トッテナムとスウェーデン代表の両方で中核を担う選手として、今後もさらなる成長と活躍が期待されています。
6位 シャビ・シモンズ(RBライプツィヒ)
8000万€(136億円)
シャビ・シモンズは2003年4月21日生まれのオランダ出身攻撃的ミッドフィールダーで、現在はブンデスリーガのRBライプツィヒに所属しています。幼少期にスペインへ移住し、2010年にFCバルセロナの下部組織「ラ・マシア」に入団。その後、2019年にパリ・サンジェルマン(PSG)へ移籍し、2021年にトップチームデビューを果たしました。2022年にはPSVアイントホーフェンへ移籍し、エールディヴィジで34試合19ゴールという目覚ましい活躍を見せました。2023年7月にはPSGに復帰後、RBライプツィヒへレンタル移籍。2024/2025シーズンにはブンデスリーガで15試合に出場し、5ゴール4アシストを記録しています。卓越したドリブル技術と正確なパス、視野の広さを武器に、攻撃の要としてチームを牽引。守備面でも積極的なプレーで攻守両面に貢献しています。オランダ代表としても2022年にA代表デビューを果たし、主要大会や予選で中盤や前線の重要なピースとして活躍。若くしてヨーロッパのトップリーグで存在感を示しており、今後もRBライプツィヒとオランダ代表の両方でさらなる成長と活躍が期待される選手です。
5位 マルティン・ウーデゴール(アーセナルFC)
1億1000万€(187億円)
マルティン・ウーデゴールは1998年12月17日生まれのノルウェー出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのアーセナルFCに所属しています。15歳でノルウェーのストレームスゴトセトでプロデビューを果たし、その才能が注目されて2015年にレアル・マドリードへ移籍。しかし、トップチームでの出場機会が限られたため、オランダのヘーレンフェーンやフィテッセ、スペインのレアル・ソシエダへのレンタル移籍を経験しました。2021年1月にアーセナルへレンタル移籍し、同年8月に完全移籍を果たしてチームの中心選手として活躍。2024/2025シーズンではプレミアリーグ18試合で2ゴール3アシストを記録し、攻撃の要として貢献しています。ウーデゴールは右足の正確なキックと卓越した視野を武器に、攻撃的ミッドフィールダーとして創造的なプレーを展開。フリーキックの名手としても知られ、セットプレーからの得点でも存在感を示します。ノルウェー代表としても2014年にA代表デビューを果たし、中盤の重要なピースとしてチームを牽引。アーセナルとノルウェー代表の両方で中核を担う選手として、今後のさらなる成長と活躍が期待されています。
4位 コール・パーマー(チェルシーFC)
1億3000万€(221億円)
コール・パーマーは2002年5月6日生まれのイングランド出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのチェルシーFCに所属しています。マンチェスター・シティのアカデミーで育ち、2019年にトップチームへ昇格。その後、2023年夏にチェルシーへ移籍し、新たな挑戦をスタートさせました。2024/2025シーズンではプレミアリーグ26試合で14ゴール6アシストを記録し、90分あたりのゴール数0.55、ゴール関与数0.79と攻撃面で大きな存在感を示しています。パーマーは左足の正確なキックと高い戦術理解力を持ち、攻撃的ミッドフィールダーとしてドリブルやパスで相手ディフェンスを切り崩す能力に優れています。イングランド代表としては各年代別代表を経て、2023年11月にA代表デビューを果たしました。UEFA EURO 2024では決勝のスペイン戦で同点ゴールを決めるなど、重要な場面での決定力も発揮。チェルシーとイングランド代表の両方で中核を担うパーマーは、その卓越した技術と創造性で今後もさらなる成長と活躍が期待されています。
3位 ジャマル・ムシアラ(バイエルン・ミュンヘン)
1億4000万€(238億円)
ジャマル・ムシアラは2003年2月26日生まれのドイツ出身ミッドフィールダーで、現在はブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンに所属しています。イングランドのチェルシーFCのユースアカデミーで育ち、2019年にバイエルン・ミュンヘンの下部組織に移籍しました。2020年6月にわずか17歳でトップチームデビューを果たし、その後はチームの主力選手として定着。2025年2月にはクラブとの契約を2030年まで延長し、バイエルンでの長期的な活躍が期待されています。2024/2025シーズンではブンデスリーガ20試合で11ゴール2アシストを記録し、90分あたり0.65ゴール、ゴール関与数0.78と攻撃面で高い貢献度を示しています。ムシアラは卓越したドリブル技術とボールコントロールを持ち、攻撃的ミッドフィールダーとして正確なパスと広い視野でチャンスを創出する能力に優れています。ドイツ代表としても2021年3月にA代表デビューを果たし、以降は主要大会や予選で中盤の要として活躍。若さを感じさせない成熟したプレーと創造性で、バイエルン・ミュンヘンおよびドイツ代表の中核を担う選手として、今後もさらなる成長と活躍が期待されています。
2位 フロリアン・ヴィルツ(バイエル・レバークーゼン)
1億4000万€(238億円)
フロリアン・ヴィルツは2003年5月3日生まれのドイツ出身ミッドフィールダーで、現在はブンデスリーガのバイエル・レバークーゼンに所属しています。1.FCケルンのユースアカデミーで育ち、2020年1月にバイエル・レバークーゼンの下部組織に移籍。同年5月には17歳でトップチームデビューを果たし、以降はチームの中心選手として活躍しています。2024年12月にはクラブとの契約を2028年まで延長し、年俸は1000万ユーロ(約16億円)を超えると報じられています。2024/2025シーズンではブンデスリーガ23試合で9ゴール10アシストを記録し、90分あたりのゴール数は0.45、ゴール関与数は0.96と高い貢献度を示しています。ヴィルツは卓越したポジショニングとスペース活用能力を武器に、攻撃的ミッドフィールダーとして正確なパスと創造性で攻撃を牽引し、得点力も兼ね備えています。ドイツ代表としても2021年3月にA代表デビューを果たし、主要大会や予選で中盤の要として活躍。若さを感じさせない成熟したプレーと創造性で、バイエル・レバークーゼンおよびドイツ代表の中核を担う選手として、今後もさらなる成長と活躍が期待されています。
1位 ジュード・ベリンガム(レアル・マドリード)
1億8000万€(306億円)
ジュード・ベリンガムは2003年6月29日生まれのイングランド出身ミッドフィールダーで、現在はラ・リーガのレアル・マドリードに所属しています。バーミンガム・シティのユースアカデミーで育成され、2019年にトップチームデビューを果たしました。その後、2020年にドイツのボルシア・ドルトムントへ移籍し、3シーズンにわたり主力として活躍。2023年6月にレアル・マドリードへの移籍が発表され、新たな挑戦をスタートさせました。2024/2025シーズンではラ・リーガ20試合に出場し、7ゴール6アシストを記録。90分あたりのゴール数は0.35、ゴール関与数は0.65と攻撃面で高い貢献度を誇ります。ベリンガムは卓越したボールコントロールと広い視野を持ち、攻撃的ミッドフィールダーとしてチームを牽引。さらに、守備面でも高い貢献度を示し、攻守両面でバランスの取れたプレースタイルが特徴です。イングランド代表としては2020年11月にA代表デビューを果たし、主要大会や予選で中盤の要としてチームに貢献しています。若さを感じさせない成熟したプレーと戦術理解力で、今後もレアル・マドリードおよびイングランド代表の中核を担う選手としてさらなる成長と活躍が期待されています。
まとめ
今回の攻撃的ミッドフィルダー市場価値ランキングは、現代サッカーにおける「10番」の役割がいかに多様化し、進化しているかを如実に示す結果となりました。1位に輝いたのは、レアル・マドリードで絶対的な存在感を放つジュード・ベリンガム。その市場価値は1億8000万ユーロ(約306億円)と圧倒的で、得点力、ゲームコントロール能力、そしてビッグマッチでの決定的なパフォーマンスによって、攻撃的ミッドフィルダーの新たな基準を打ち立てています。中盤からゴール前へと飛び出すプレースタイルと、驚異的なフィジカルを兼ね備えたベリンガムは、サッカー界で最も魅力的な若手選手の一人といえるでしょう。
2位と3位には、フロリアン・ヴィルツとジャマル・ムシアラがそれぞれ1億4000万ユーロ(約238億円)でランクインしました。ヴィルツはバイエル・レバークーゼンの攻撃をけん引する中心選手であり、創造性あふれるプレーと鋭い決定力が市場価値に大きく反映されています。一方、ムシアラはバイエルン・ミュンヘンでそのドリブル突破力とスペースを作り出す動きでチームの攻撃に欠かせない存在となっており、ドイツサッカー界の未来を担う逸材とされています。
4位のコール・パーマー(1億3000万ユーロ/約221億円)は、チェルシーFCで急速に評価を高めている新星。スピードとテクニックを兼ね備えたアタッキングセンスで、試合を決定づける存在として注目を集めています。そして5位のマルティン・ウーデゴール(1億1000万ユーロ/約187億円)は、アーセナルのキャプテンとして攻撃を統率し、卓越した視野とパスセンスで攻撃をリードしています。彼の冷静な判断力とピッチ全体を見渡すプレーは、市場価値にふさわしいものです。
今回のランキングを通して見えてくるのは、攻撃的ミッドフィルダーに求められる資質の多様性です。かつてのように単純な「ゲームメーカー」としての役割にとどまらず、ゴールに直結する動きや守備への貢献、さらには戦術理解力と柔軟なポジショニング能力が評価される時代となっています。また、若手選手がランキング上位を占めていることからも、将来性や長期的な成長ポテンシャルが市場価値において大きな影響を持つことが分かります。
今後、これらの選手たちがどのようなキャリアを歩み、その市場価値をどのように変動させていくのかは、サッカーファンにとって大きな関心事となるでしょう。新たなスターが登場するのか、それとも現状のトップ選手たちがその座を守り続けるのか。攻撃的ミッドフィルダーというポジションにおける新たな物語から、今後も目が離せません。



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