セントラルミッドフィルダー(CMF)は、現代サッカーにおいて攻守両面のバランスを担う最も重要なポジションの一つです。ピッチの中心でゲームをコントロールし、攻撃の起点となるパスを供給する一方で、守備面では相手の攻撃を未然に防ぐ役割も求められます。攻撃的なプレーヤーと守備的なプレーヤーをつなぐ「心臓部」として、試合全体の流れを左右する存在であり、そのパフォーマンスがチームの成否に直結します。
かつては、セントラルミッドフィルダーといえば主にシンプルなパスとポジショニングでチームを支える役割が中心でした。しかし近年では、試合を決定づけるゴールやアシストを生み出すクリエイティブな能力、相手のプレッシャーを受け流すテクニック、さらには高い戦術理解力と守備能力も不可欠な要素となっています。また、運動量が豊富で攻守を何度も往復できる「ボックス・トゥ・ボックス型」の選手や、ディープエリアから攻撃を組み立てる「レジスタ型」の選手など、多様なスタイルが市場価値を決定する要因になっています。
今回は、Transfermarktの最新データをもとに、世界で最も市場価値が高いセントラルミッドフィルダーのランキングを紹介します。ここに名を連ねる選手たちは、単なる「つなぎ役」ではなく、攻撃をデザインし、守備を支え、試合を支配することで市場価値を築き上げています。彼らのプレースタイルや戦術的役割、そしてなぜこれほどまでに高く評価されているのかを深掘りし、現代サッカーにおけるセントラルミッドフィルダーの真価に迫ります。
市場価値ランキング – セントラルミッドフィルダー編
10位 ウォーレン・ザイール=エメリ(パリ・サンジェルマン)
6000万€(102億円)
ウォーレン・ザイール=エメリは2006年3月8日生まれのフランス出身ミッドフィールダーで、現在はリーグ・アンのパリ・サンジェルマンFC(PSG)に所属しています。PSGのユースアカデミーで育ち、2022年7月1日にトップチームへ昇格。2022-23シーズンにはリーグ・アンで26試合に出場し2得点を記録するなど、若干16歳でトップチームの一員としてプレーしました。2024/2025シーズンではリーグ・アン18試合で1ゴール1アシストを記録し、90分あたりのパス成功率は92.21%、1試合あたり約67本のパスを成功させるなど、中盤で高い貢献度を示しています。ザイール=エメリは卓越した技術とフィジカルを兼ね備え、年齢を感じさせない落ち着きと判断力が特徴。攻守両面でチームを支え、高いパス精度と視野の広さで試合をコントロールします。代表歴も豊富で、2023年には17歳でフランスA代表に初招集され、同年10月にはU-21フランス代表のキャプテンにも就任。若くして代表チームの中心選手として期待されています。PSGおよびフランス代表の将来を担う逸材として、今後もその才能と成熟したプレーで世界中から注目される選手です。
8位 ドミニク・ソボスライ(リヴァプールFC)
7500万€(127億5,000万円)
ドミニク・ソボスライは2000年10月25日生まれのハンガリー出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのリヴァプールFCに所属しています。ヴィデオトンFCのユースアカデミーでキャリアをスタートさせた後、オーストリアのレッドブル・ザルツブルクやドイツのRBライプツィヒでプレーし、2023年7月にリヴァプールFCと2028年6月30日までの契約を締結しました。2024/2025シーズンではプレミアリーグ25試合に出場し、4ゴール3アシストを記録。合計29本のシュートのうち16本が枠内に飛ぶなど、攻撃の中心選手として活躍しています。ソボスライは卓越した技術と視野の広さを兼ね備えた攻撃的ミッドフィールダーで、正確なパスと強力なシュートを武器としています。さらに、186cmの身長を活かしたフィジカル面でも優れており、プレミアリーグの激しい戦いに適応しています。ハンガリー代表としても各年代別代表を経てA代表の中心選手となり、そのリーダーシップとプレースキルで国際舞台でも注目を集めています。リヴァプールFCおよびハンガリー代表の中核を担うソボスライは、その才能と努力でチームに大きく貢献しており、今後もさらなる成長と活躍が期待される選手です。
8位 エンソ・フェルナンデス(チェルシーFC)
7500万€(127億5,000万円)
エンソ・フェルナンデスは2001年1月17日生まれのアルゼンチン出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのチェルシーFCに所属しています。リーベル・プレートのユースアカデミーで育成され、2019年にトップチームデビュー。その後、デフェンサ・イ・フスティシアへのレンタル移籍を経てリーベル・プレートに復帰し、2021年シーズンでは20試合で2得点、2022年シーズンでは20試合で8得点を記録しました。2022年にポルトガルのベンフィカへ移籍し、17試合に出場して1得点を挙げた後、2023年にチェルシーFCへ移籍しました。2024/2025シーズンではプレミアリーグ24試合に出場し、4ゴール4アシストを記録。90分あたりのゴール数とアシスト数はともに0.19で、合計ゴール関与数は0.39。試合ごとの平均パス成功数は58.47本、パス成功率は84.62%と高水準を維持しています。フェルナンデスは卓越したパスセンスと視野の広さを武器に、攻守両面でチームを支えるプレースタイルが特徴。アルゼンチン代表としては2022年のFIFAワールドカップ・カタール大会で全試合に出場し、チームの優勝に大きく貢献。大会最優秀若手選手賞も受賞しています。チェルシーFCとアルゼンチン代表の中核を担うフェルナンデスは、その才能と努力で今後もさらなる活躍が期待される選手です。
4位 ニコロ・バレッラ(インテル・ミラノ)
8000万€(136億円)
ニコロ・バレッラは1997年2月7日生まれのイタリア出身ミッドフィールダーで、現在はセリエAのインテル・ミラノに所属しています。カリアリ・カルチョのユースアカデミーで育ち、2015年にトップチームデビューを果たしました。2017年にはカリアリ史上最年少キャプテンに就任し、2018-19シーズンにはリーグ100試合出場を達成し、セリエAベストイレブンにも選出されました。2019年にインテル・ミラノへローン移籍後、翌年正式に加入し、2020-21シーズンにはインテルをセリエA優勝へ導き、自身もリーグ最優秀ミッドフィールダーに選ばれました。その後もインテルでの活躍を続け、コッパ・イタリアやスーペルコッパ・イタリアーナのタイトルを連覇し、セリエAベストイレブンに5年連続で選出されています。2024/2025シーズンではセリエA23試合に出場し、3ゴール5アシストを記録。プレースタイルは豊富な運動量とボール奪取能力を活かしたボックス・トゥ・ボックス型で、攻撃の起点となる正確なパスとミドルシュートも得意としています。イタリア代表としてもUEFA EURO 2020全試合に出場し、チームの優勝に貢献。インテル・ミラノとイタリア代表の中核を担う選手として、今後もさらなる活躍が期待されます。
4位 アレクシス・マク・アリスター(リヴァプールFC)
8000万€(136億円)
アレクシス・マック・アリスターは1998年12月24日生まれのアルゼンチン出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのリヴァプールFCに所属しています。アルヘンティノス・ジュニアーズでプロキャリアをスタートし、ボカ・ジュニアーズへのレンタル移籍を経て、2020年にイングランドのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFCに加入。ブライトンではプレミアリーグで3シーズンにわたり活躍し、その後2023年6月にリヴァプールFCへ移籍しました。2024/2025シーズンではプレミアリーグ26試合に出場し、2ゴール3アシストを記録。90分あたりのゴール数は0.09、アシスト数は0.14で、試合ごとの平均パス成功数は51.18本、パス成功率は87.78%と高精度を誇ります。マック・アリスターは中盤の多様なポジションをこなすユーティリティープレイヤーであり、高いパス精度と視野の広さ、攻守両面での貢献度が特徴です。アルゼンチン代表としても2022年のFIFAワールドカップ・カタール大会で全試合に出場し、チームの優勝に大きく貢献しました。現在、リヴァプールFCとアルゼンチン代表の中核を担う選手として、その多才なプレースタイルと高い技術でチームに大きな影響を与えており、今後のさらなる活躍と成長が期待されています。
4位 エドゥアルド・カマヴィンガ(レアル・マドリード)
8000万€(136億円)
エドゥアルド・カマヴィンガは2002年11月10日生まれのアンゴラ出身ミッドフィールダーで、現在はスペインの名門クラブ、レアル・マドリードに所属しています。フランスのスタッド・レンヌの下部組織で育ち、2019年4月に16歳でトップチームデビューを果たしました。その卓越したパフォーマンスにより、2021年8月31日にレアル・マドリードと6年契約を締結し、移籍後すぐに中盤の要として活躍しています。2024/2025シーズンではラ・リーガで11試合に出場し、2アシストを記録。試合ごとの平均パス成功数は65.11本、パス成功率は88.67%と高精度を誇り、90分あたり0.87本のキーパスを供給するなど、攻撃面でもチームに大きく貢献しています。カマヴィンガのプレースタイルは、卓越したボール奪取能力と広い守備範囲を持つディフェンシブ・ミッドフィールダーとして知られ、高いサッカーIQに基づいたポジショニングで相手の攻撃を未然に防ぎます。また、正確なパスとドリブルで攻撃の起点となるプレーも得意としています。フランス代表としても各年代別代表を経てA代表に定着しており、若くして国際舞台での経験を積む将来有望な選手です。レアル・マドリードおよびフランス代表の中核を担う存在として、今後もさらなる成長と活躍が期待されています。
4位 ガビ(FCバルセロナ)
8000万€(136億円)
パブロ・マルティン・パエス・ガビラ、通称ガビは、2004年8月5日生まれのスペイン出身ミッドフィールダーで、現在はFCバルセロナに所属しています。2015年、11歳でバルセロナの下部組織「ラ・マシア」に入団し、その後各カテゴリーで卓越した才能を発揮しました。2021年8月29日には、16歳でトップチームデビューを果たし、瞬く間にバルセロナの中心選手へと成長。同年10月6日にはUEFAネーションズリーグ準決勝のイタリア戦でスペイン代表デビューを飾り、17歳62日でのA代表デビューはスペイン史上最年少記録となりました。ガビのプレースタイルは、高いテクニックと視野の広さ、優れた戦術理解力を備えており、攻守両面での貢献度が高いのが特徴です。リズムの変化やスペースの活用にも優れ、そのプレーはかつてのバルセロナの名選手アンドレス・イニエスタを彷彿とさせると評価されています。スペイン代表としてもすでにA代表に定着し、若くして国際舞台での経験を積んでいます。ガビはFCバルセロナおよびスペイン代表の将来を担う存在として、その才能と努力によってチームに大きな影響を与えており、今後もさらなる活躍と成長が期待されています。
3位 ペドリ(FCバルセロナ)
1億€(170億円)
ペドリ(本名:ペドロ・ゴンサレス・ロペス)は、2002年11月25日生まれのスペイン出身ミッドフィールダーで、現在はFCバルセロナに所属しています。地元クラブのUDテゲステでサッカーを始め、フベントゥ・ラグーナを経て、2018年にUDラス・パルマスの下部組織に加入。2019年には16歳でプロ契約を結び、同年8月にトップチームデビューを果たしました。2019-2020シーズンには36試合に出場し、4ゴールを記録するなど若くして主力選手として活躍しました。2019年9月にFCバルセロナとの契約が発表され、2020年8月に正式合流。バルセロナでのデビューシーズンとなる2020-2021シーズンでは公式戦52試合に出場し、その卓越した技術と視野の広さでチームの中心選手として存在感を示しました。2021年10月には契約を2026年まで延長し、契約解除金は10億ユーロと設定されています。スペイン代表としても各年代別代表を経て、18歳でUEFA EURO 2020に出場し、全試合先発出場するなどその才能を世界に示しました。プレースタイルはボールコントロールとパスセンスに優れ、試合を読む力に長けており、アンドレス・イニエスタを彷彿とさせると評価されています。バルセロナおよびスペイン代表の将来を担う選手として、今後もさらなる成長と活躍が期待されます。
2位 デクラン・ライス(アーセナルFC)
1億1000万€(187億円)
デクラン・ライスは1999年1月14日生まれのイングランド出身ミッドフィールダーで、現在はプレミアリーグのアーセナルFCに所属しています。チェルシーFCのユースチームでキャリアをスタートさせた後、2014年にウェストハム・ユナイテッドFCのアカデミーに移籍。2017年5月にプレミアリーグ最終節でトップチームデビューを果たし、以降は守備的ミッドフィールダーやセンターバックとしてチームの主力選手となりました。2023年7月にはアーセナルFCへの移籍が正式に発表され、2028年6月30日までの契約を締結。2024/2025シーズンではプレミアリーグ23試合に出場し、1ゴール5アシストを記録しています。試合ごとの平均シュート数は0.93本、シュート精度は36.84%と高い安定感を誇ります。ライスのプレースタイルは優れた守備力とボール奪取能力に加え、正確なパスと広い視野で攻撃の起点となることが特徴です。試合の流れを読む力に優れ、チームの攻守のバランスを保つ重要な役割を担っています。イングランド代表としても2019年にデビューし、UEFA欧州選手権やFIFAワールドカップなどの主要大会で活躍。代表チームでも中盤の要として高い信頼を得ています。アーセナルFCおよびイングランド代表の中核を担うライスは、その高い技術と戦術眼でチームに大きく貢献しており、今後もさらなる成長と活躍が期待されています。
1位 フェデリコ・バルベルデ(レアル・マドリード)
1億3000万€(221億円)
フェデリコ・バルベルデは1998年7月22日生まれのウルグアイ出身ミッドフィールダーで、現在はスペインの名門クラブ、レアル・マドリードに所属しています。ウルグアイの名門クラブ、ペニャロールのユースチームでキャリアをスタートさせた後、2016年にレアル・マドリードの下部組織に移籍。2017年にはデポルティーボ・ラ・コルーニャへレンタル移籍し、実戦経験を積みました。2018年にレアル・マドリードのトップチームに昇格すると、持ち前の運動量と戦術理解力を武器に、チームの中核として活躍を続けています。2024/2025シーズンではラ・リーガ24試合に出場し、5ゴール3アシストを記録。試合ごとの平均パス数は62.05本、パス成功率は90.62%と高い精度を誇り、90分あたり1.11本のキーパスを供給するなど攻撃面でも大きく貢献しています。バルベルデのプレースタイルは、卓越したボール奪取能力と広い守備範囲を活かしたボックス・トゥ・ボックス型ミッドフィールダーで、高いサッカーIQを駆使して攻守にわたり試合をコントロールします。ウルグアイ代表としても各年代別代表を経てA代表に定着しており、主要な国際大会でも存在感を発揮しています。レアル・マドリードおよびウルグアイ代表の中核を担うバルベルデは、その高い技術と戦術眼でチームに大きな貢献をしており、今後もさらなる成長と活躍が期待されています。
まとめ
今回のセントラルミッドフィルダー市場価値ランキングは、現代サッカーにおけるこのポジションの多様性と重要性を象徴する結果となりました。1位に輝いたのは、レアル・マドリードのフェデリコ・バルベルデ。その市場価値は1億3000万ユーロ(約221億円)と非常に高く評価されています。バルベルデは圧倒的な運動量とフィジカル、的確なパスワークを兼ね備え、攻守両面で試合の流れを支配できる選手です。攻撃時には前線へ飛び出し得点を狙い、守備時には冷静なポジショニングで相手の攻撃を食い止める万能型のミッドフィルダーとして、チームに欠かせない存在となっています。
2位は、アーセナルFCのデクラン・ライス(1億1000万ユーロ/約187億円)。ライスは卓越した守備能力とボール奪取力で、プレミアリーグ屈指のセントラルミッドフィルダーとして急成長を遂げています。中盤の底からチームの攻撃を組み立てるだけでなく、危機察知能力にも優れており、アーセナルの中盤を支える要石としてその市場価値を押し上げました。
3位には、FCバルセロナのペドリ(1億ユーロ/約170億円)がランクイン。若干21歳ながらバルセロナの中心選手として攻撃を組み立て、卓越したテクニックとパスセンスでゲームを支配します。ピッチ全体を見渡す視野の広さと冷静な判断力は、若手選手とは思えない成熟したプレースタイルを実現しており、今後さらなる市場価値の上昇が期待されます。
4位には、ニコロ・バレッラ(インテル・ミラノ)、アレクシス・マク・アリスター(リヴァプールFC)、エドゥアルド・カマヴィンガ(レアル・マドリード)、ガビ(FCバルセロナ)の4名が**8000万ユーロ(約136億円)**で並びました。バレッラはイタリアらしい戦術理解力と攻撃への積極的な関与が光り、マク・アリスターはリヴァプールの攻撃を支えるパス精度と機動力で高評価を得ています。カマヴィンガはその若さとダイナミックなプレースタイルでレアル・マドリードの未来を担う選手として期待され、ガビもまたバルセロナで高いインテンシティと戦術的柔軟性を発揮しています。
今回のランキングを通して明らかになったのは、現代のセントラルミッドフィルダーには単なるつなぎ役以上の能力が求められているという点です。攻撃時には試合をクリエイトし、守備時には中盤の要として相手の攻撃をシャットアウトする二面性が必要不可欠です。また、ランキング上位には若手選手が多く名を連ねており、将来性や成長ポテンシャルが市場価値に大きく影響していることも見て取れます。
今後のシーズンや移籍市場で、これらのトップ選手たちがどのような成長を遂げ、どのように市場価値を変動させていくのかは大きな注目ポイントです。新たな才能が台頭するのか、それとも既存のスター選手たちがその座を守り続けるのか。セントラルミッドフィルダーという戦術的にも戦略的にも重要なポジションを担う彼らの今後の活躍から、ますます目が離せません。



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